ふりかえり実践会

「ふりかえり実践会」の活動紹介ページです

ふりかえりカンファレンス2024開催のお知らせ&カンファレンスの運営について

本記事について

本記事は、「Regional Scrum Gathering Tokyo & Scrum Fest Advent Calendar 2023」の9日目の記事です。 現在企画中のふりかえりカンファレンス2024のお話と、カンファレンスの運営についてのお話をしていきます。

adventar.org

そもそもふりかえりカンファレンスって?

ふりかえりカンファレンスは、 ふりかえりを実践している方々、ふりかえりに興味がある方々に向け、マインドセットや新しい手法の提案などに加えて、ワークショップでふりかえりを体験できるカンファレンスです。 全世界どこからでも参加ができ、エンジニアに留まらず、どんな職種の方でもどんな業界の方でも、学生も、どなたでもご参加いただける、交流の場を目指しています。ふりかえりを体験したい方、ぜひお気軽にご参加ください。

ふりかえりカンファレンスは2021年に発足したイベントで、毎年4月の第2土曜日に行っています。 来年は2024年4月13日(土)でオンライン開催です。 未確定ですがオフライン会場も検討しており、初のオンライン+オフラインのハイブリッド開催になるかもしれません。 是非スケジュールを開けておいてくださいね!

プロポーザル募集は遅くともRSGT2024のタイミング(24年1月)にオープンしたいと考えています。 みなさんの珠玉のふりかえりセッションを楽しみにお待ちしています。

ふりかえりカンファレンスとスクラムギャザリング

ふりかえりカンファレンスは、主にアジャイルコミュニティに属している人たちでふりかえりが大好きなメンバーによって企画・運営されています。他のスクラムフェスと違い「スクラム」という名前がついていないのは、アジャイルスクラム関係なく、ふりかえりに関することならなんでも集めたカンファレンスにしたいから、という理由です。発足自体も実はスクラムフェスとは違っていたりします。
RSGTからは、実行委員の方々に、ご好意のもと、ConfengineやZoom等の機材をご利用させていただいており、これで3年目となります。いつもありがとうございます!

ふりかえりカンファレンス2024のテーマとキーノートについて

第4回目のテーマは「コネクト」。ふりかえりは、なにかとつながることで、新たな側面を見せてくれます。

  • 人や関係性とのコネクト
  • 業務や業界とのコネクト
  • 夢や未来とのコネクト
  • 今までやってきたことと、次にやりたいこととのコネクト
  • ふりかえり以外の知識や考え方とのコネクト
  • ふりかえり星人とのコネクト

などなど、ふりかえりを通じてなにかとコネクトする、というのをテーマに、ふりかえりの幅を広げる・深めるためのきっかけになるセッションを募集します。「なにか」はどんなものでも構いません。みなさんの「コネクト!」の話を聞かせていただけるのを楽しみにしています。

そして、第4回のキーノートは熊平 美香さんです。 書籍「リフレクション」「ダイアローグ」など、対話に関わる書籍を執筆されており、EdTechなどの学校教育にも関わられている方です。

今回のテーマは「コネクト」ということで、「ふりかえり」にコネクトするものとして非常に親和性が高い「リフレクション」「対話」「組織」「学習」「教育」などを体系的に取り扱われている熊平さんに是非お願いしたい、とスタッフ内でもまとまりました。 私たちスタッフの中にも熊平さんの著書を読んでおり実践しようとしている人は多く、熊平さんにアプローチさせていただいたところ、快諾いただけました。是非、皆様楽しみにしておいてくださいね!

過去テーマ・キーノート・レーン構成について

2021年「君も今日からフリカエル」

キーノート:アジャイルの終わりとふりかえりの始まり/平鍋 健児さん レーン構成:インプットレーン/アウトプットレーン

ふりかえりカンファレンス初回として、ふりかえりの源流を探り、基本を知り・実践する。そんな想いを実現するキーノートとレーン構成となっていました。話を聞く「インプットレーン」と、ワークショップ形式で実践する「アウトプットレーン」に分かれています。

2022年「しる、みる、つくる、フリカエル」

キーノート:「場づくり」から始めるふりかえり/高柳 謙さん レーン構成:きいろレーン/みどりレーン

ふりかえりを「しる」「みる」「つくる」に3つに分類し、参加者が知りたいこと、実践したいことを自分たちで選べるセッション設計でした。カンファレンスの「場づくり」そのものをキーノートでも実践いただけただけた年となりました。レーンの色はカエルの2色です。どちらのレーンに1日いても楽しめる、そんなつながりをもったレーン構成にしています。

2023年「ふりかえりに味変を」

キーノート:ふりかえり変幻自在/安井 力さん レーン構成:おかかレーン/のりたまレーン

ホップ、ステップ、ジャンプ、の3年目としてのテーマが「味変」です。「白米」「味変」の2つのジャンルに分かれてセッションを募集し、味変の象徴としての「おかか」「のりたま」の2つのレーンでセッションを行いました。キーノートでは、様々な味変の考え方について触れられており、ふりかえりの幅を広げ・自由にしてくれる、そんな内容でした。

2024年「コネクト」

3年目を終えて基本に立ち返るのか、別のテーマを模索するのか、といった中で出てきたのが「コネクト」というテーマです。アジャイルスクラムの中で語られる「レトロスペクティブ(Retrospective/回顧)」の概念をより拡張させ、「Reflection」「Postmortem」といった別の意味へのコネクト。そして、ソフトウェア開発現場で扱われがちなレトロスペクティブを超え、別の業界・ジャンルとのコネクトを。ここ1-2年でも学校教育の中では「ふりかえり」への意識が教員・生徒双方に高まり続けているのを感じており、AIを交えたふりかえりの進め方や、ふりかえりのツール・ゲームなども徐々に出始めました。そうした時代的背景も鑑み、「コネクト」というテーマが選ばれています。

ふりかえりカンファレンスの運営について

スタッフの数人からは「一番運営が楽なカンファレンス」と言われています。私もそう感じます。 基本的には隔週1度、毎週月曜日20:30に集まって、最大1.5hで解散します。

運営はMiro + Discordで行われ、「参加できる人が参加して話を進める」「無理はしない」「自分たちが一番楽しむ」「毎回必ずふりかえりをする」というルールのもとでゆるく行われます。 企画のMiroはこんな感じ。

毎年Miroで運営を続けているので、過去の運営ノウハウも溜まってきており、企画の時期になると、去年のMiroのボードをそのままコピーしてきて流用できるところを流用しながら、インクリメンタルに進めていくようなイメージです。

左側にバックログ置き場があり、この4年間で「カンファレンスを実行完了するまでに何をするのか」が一通り並んでいます。年によってバックログは増えたり減ったりしており、毎回リファインメントを行いながら改善していきます。スタッフミーティングに集まった人が、上から順に進めていくような形ですね。

1年目こそ、主催の私がほぼ毎回参加してドライブしていた感覚はありますが、2年目以降はスタッフ同士で自発的に進めています。3年目になると私は半分くらいしか出れておらず、気が付いたらセッションが決まっていました(私は仕事が忙しすぎて出れなかった)。でも全員が無理せず、楽しくやってるなーというのは毎回のふりかえりやチャットから見えてきます。

スタッフも来るものは拒まず、追うものは追わず、方式で基本的にふりかえりが好きな人たちが集まってやっています。2年目ではスタッフをもうちょい拡大したい思いがあり公募をかけましたが、3年目・4年目は安定を取るために継続スタッフで行っており、「興味がある」と直接お声がけいただいた人が一部追加されています。今後はどうなるかまだ分かりませんが、破壊的な変更は避けつつも色々チャレンジしていきたいよね、というのがこの4年目でのスタッフ間での雰囲気になっています。

スタッフミーティングでは毎回終わり際に10分程度ふりかえりが行われますが、毎回「何やりたい?」「何話す?」から始まり、毎回のように適当に手法を生み出して行っています。ふりかえり自体が楽しいのもミーティングの醍醐味ですね。

そんな感じで我々スタッフ一度、楽しみながら、無理せず、ゆるくカンファレンス運営をさせていただいています。 勿論登壇者の方々、そして参加者の皆様にも最大限に楽しんでほしい!と思いながらカンファレンスを作り上げていきますが、「それでも私たちが一番楽しんでたね!」って言えるくらい、楽しくやっている背中を見せられるといいなぁと思っています。もしかしたら今回はオンサイト開催もするかもしれませんので、カンファレンスに関わるみんなで楽しくやりたいですね。

おわりに、来年4月13日へ向けて

カンファレンスまであと4か月ありますが、プロポーザルの応募クローズまでは2か月くらいでしょうか。きっとあっという間です。話をしてみたい、という人は、みなさんの「コネクト」は何かを是非考えておいていただけると嬉しいです。「コネクト」のジャンルは問いません。今年も参加者側で、という方はお楽しみに!今から開けておいてね!そして、初参加してみようかな、というあなた。是非お待ちしています。カンファレンスの参加者は例年3-4割くらいは初参加者のようです。オールジャンルで「ふりかえり」から想像できるものを体験できる1日ですので、怖がらずに是非参加してみてくださいね。

ふりかえりの手法いろいろ30種/ふりかえりのサイクルと目的

本記事の目的

私たちのチームオキザリスでは、ふりかえりの回数が5000回を超えました。 色々なサイクル(期間)でふりかえりをしており、目的も様々。 その中でどんな手法でふりかえっているのか?をふりかえっていきます。 出典がなくオリジナルの手法が多いので、面白そうなものをピックアップしてみて、 皆さんのチームでも試してみていただけると嬉しいです。

ふりかえりのサイクル・目的

ふりかえりのサイクル(期間)やチームの状況に応じて、ふりかえりの目的は異なります。 これまで各種書籍(ふりかえり読本やふりかえりガイドブック等)やブログ、 Qiitaなどで理論は伝えてきましたが、ここではチームにおけるリアルな姿を伝えていきます。

ふりかえりのサイクルと目的は以下のような関連付けをしています。

1時間に1回

「立ち止まる」ことが目的です。立ち止まって思考を整理したり、悩みや困っていることを吐き出して助け合いや即時解決を促したり、雑談に繋げてチームの関係性並びに心理的安全性の向上につなげたり、といった内容が副次的な目的となります。

手法は下記のようなやり方です。固定のルールはありません。

  • チームの「ふりかえり」用のチャットに一言書く
  • 他の人と雑談する、困っていることを言葉で共有する
  • 仕事の手を止め一瞬思いを巡らす
  • 仕事の手を止め体を動かす

忙しい、手が回っていないメンバーほど、立ち止まりがなおざりになりがちです。仕事をし続けていると、すぐに相談すれば問題解決できるものが放置され続けてしまったり、(比較的)手が空いているメンバーにお願いをしたり、という思考から離れていきます。「仕事のキリが良くなったら立ち止まる」のでは結局次の1時間後まで仕事を続けてしまいがちなため、NGとしていて、「時間になったら強制的に立ち止まる」ように言い続けています。

チームでは HH:00 のタイミングに立ち止まるようにしていますが、次の時間に打ち合わせが入っている場合は、打ち合わせに行く前に HH:58-00 ごろに立ち止まってふりかえりをするようにしています。

時間になったら自発的に立ち止まるメンバーもいれば、仕事に没頭しているメンバーもいるので、そういうメンバーがいる場合は「⚪︎⚪︎時でーす、止まれー」とチームみんなに声がけします。そこからふりかえりや会話がスタートします。

今週木曜日にふりかえっていたのはこんな感じ。チャットに吐き出しながら、Zoomで会話が進んでいきます。

特定の打ち合わせ後

お客様との打ち合わせ後や、セミナーの実施後に、「先ほどの打ち合わせはどうだった?次どうする?」といった会話が自然と行われます。情報を即時共有し、意思決定ならびに、プロセスの改善と問題解消をするのが目的です。

チームオキザリスでは、常時Zoomに接続しており、打ち合わせのタイミングでチームのZoomから出ていき、終わったら戻ってくる、という働き方です。戻ってきたタイミングで「ただいま」と声が聞こえてくるので、「さっきの打ち合わせどうだった?」「こんな感じでした。相談したいことが...」というふうに会話につながっていきます。

複数人が同時に参加した打ち合わせでは、打ち合わせ後に再度チームZoomに集まって、「次どうする?」という役割分担やアクション決めが行われます。

営業や企画の打ち合わせ後には、話し方や伝え方についての相互フィードバック、アドバイスなどが行われることもあります。

1日に1回

業務終了のタイミングで立ち止まり、1日の学びや課題などを共有します。目的や手法は1時間のふりかえりとあまり変わりませんが、長めの雑談や相談に繋がりやすい傾向があります。 テーマはコミュニケーションについてや、案件の現状や課題、ビジネス戦略、チームのプロセスなど多岐にわたります。

「今日はどうだった?」という声かけから始まることも多めです。 チャットで1日にフォーカスしたふりかえりになっていきます。

私がインフルエンザで倒れてても各自でふりかえっています。

1週間に1回

大目的は「チームの未来のため」です。価値観の共有、目的の合意形成や共有、プロセスの改善、などなどフリージャンルでふりかえりを行います。 大枠は「チームビルディングチートシート」の各要素・マインドセット・活動に沿った内容や、「ふりかえり読本 実践編」での「ふりかえりの型」に沿った内容になっており、チームにとって今何が必要か?を毎回チームメンバーみんなで話しあってふりかえりをしています。

1週間に1回のふりかえり手法についてはたくさんありますので後述します。

1か月に1回

事業目線でふりかえりをします。私たちのチームはメンバーひとりひとりが個別にプロダクトを持つ「プロダクトオーナー」として活動しており、チーム内で行われる事業も複数・多岐にわたります。 それぞれの事業の中でどんなことが起こったのか、チームにどんな影響を与えたのか、についてふりかえりを行うことで、中長期的な目線でのアクションを立てやすくしたり、各自がオーナーシップを持ちやすくする、という目的があります。 新しく入ってきたメンバーへのオンボーディングにも、私たちの事業の歴史を説明しやすくするメリットもあります。

ヨコの緑色の線1本が1事業を表しています。何らかの事情で事業をストップさせたものは赤い色で行が終了してるのが分かると思います。 それぞれの事業ごとに、何を行ったのか、どんな変化があったかをみんなでふりかえります。

6か月に1回

上期、下期の終了タイミングで、事業成果目線でふりかえりをします。 やっている内容は1か月に1回のふりかえりに近いですが、「立ち上げた事業数と状況」「売上」「利益・利益率」「案件数」「セミナー回数とCVR」などの定量情報を中心に全員でふりかえりします。主目的は報告のためで、このふりかえりの結果を参考にしながら(勿論他の情報も使いながら)私が報告資料を作り、上層部へ成果報告しています。このふりかえりで出てきた内容はチームの事業としてアピールしたい・印象が強いものになりますので、マネージャ側としても周囲に強くアピールしやすくなります。

1年に1回

年末年始に「今年はどうだったか?」「来年どうしたいか?」というテーマでふりかえります。 チームビルディングとモチベーション向上が目的です。

その他のふりかえり
  • ベンダーと一緒に3か月に一度QBR(Quoter Business Review)の実施。細かな数値を見ながら、来期戦略を立てるのに利用します
  • セミナー実施後にセミナーのふりかえり。ベンダーと共催していた場合は、共同で行います
  • 障害発生後のふりかえり。全員で障害の共有をして、なぜなぜ分析をして再発防止します。

ふりかえりの手法いろいろ30種

毎週行ってきた手法やテーマを紹介していきます。 2023年に実際に行った手法30種を紹介します。 細かいやり方は特に定めておらず、その場で手法を作り、行うことがほとんどです。

1. 年末年始に何をしていた?

年末年始どう過ごしていた?をみんなで共有します。 互いのプライベートや内面が垣間見えるふりかえりです。

2. チームのコミュニケーションをよりよくするためにできることは?

チームのコミュニケーション上で「ここがつらい」と言う部分を互いに伝え合い、改善を図ります。 個人の問題に落とし込むだけではなく、伝え方を変えてみたり、チームとして仕組みでカバーできる部分はないか、等を考えます。

3. 面倒くさいと思っていることを挙げる

「仕事の中で面倒くさい」と思っているところをひたすら挙げます。共有することで問題解消につながる動きがしやすくなったり、改善・放置するかの判断もしやすくなります。

4. 翌月をどう切り抜けるか?

繁忙期になるのが予想されている際に、その期間をどうやって乗り切るかを事前に話し合います。

5. やりがい

業務・事業への「やりがいを感じているところ」「実はやりがいを感じられないところ」を話し合います。 各自のモチベーションがわかり、助け合いにもつながります。

6. あたりまえ探し

7. チーム内1on1

ふりかえりの時間を使って、ペアを組んで30分ずつ1on1します。 テーマは自由で、互いのことについて話し合います。

8. 期待マネジメント

ドラッカー風エクササイズ/期待マネジメントを実施します。 互いへの期待値と、自分がどうふるまいたいかをチームへ表明します。

9. 3年後にどうなっていたい?そのために何をする?

キャリア目線・事業目線など、「3年後私は…」というのを想像して共有します。 3年ごとのギャップから、どういう成長をしていくべきか、どういう仕事を経験すべきか、というところが見えてきて、チームの中での業務の作り方に影響を与えてくれます。

10. チームの状態を「即興性」の視点からふりかえる

speakerdeck.com チームがどういう状態なのかを各々の観点で表明します。 そして、チームがどうあるべきかを話し合います。

11. Easy as pie

www.funretrospectives.com チームというピザに具材(付箋)をたくさんのっけよう!

12. チームのモチベーター

ひとりひとりがチームの仕事の中でモチベーションにしていることは何か?を共有します。 Management 3.0のMoving Motivatorsに近いですが、それよりもフリートークで好きにモチベーターを語っていきます。

13. 喜、怒、哀

14. YOW

15. 最近のヒヤリハット報告会

業務の中であったヒヤリハットを共有し、同じ轍を踏まない&実際に事故を起こさないようにどうするかを話し合います。

16. ぶっちゃけ今でも理解できていないこと、業務は?

「今更分かってない、なんて聞けない…」ということをぶっちゃけます。 チームに新メンバーが入ってきたときに行い、「みんな似たような悩みがあるのか、不安に思わなくていいんだ」「わかってないことは表明していいんだ」という文化づくりに貢献してくれます。

17. もやっとしていることを吐き出そう

チームのコミュニケーションや、チーム外のこと、業務のこと、などなんでももやもやしていることを吐き出します。

18. 別チームとのコミュニケーションをどう改善するか?

自分たちの周囲の関連するチームとのコミュニケーション方法の改善について、問題点と改善策の両方を考えます。

19. ○○ってみんなどうやってるの?

○○は特定の業務やプロセスを入れます。私たちのチームは「クロスセルってどうやってる?」について、それぞれの知見を共有しました。

20. 能力評価と共有

チームメンバー一人一人が自分の能力を自己評価して共有します。互いにフィードバックしあったり、長所を生かしあうために何ができるかを話します。

21. Moving Motivators

management30.com

Management 3.0 のMoving Motivatorsのゲームをみんなで行います。

22. チームにジョインしたとき、「こんなこと困ったなぁ」と思ったこと         

新しくチームメンバーが入るときのために、困りそうなことを事前に対策しておくために話し合います。 過去の悩みを共有することで、オンボーディングプロセスを強化します。

23. 好きな歌の歌詞をモチーフにふりかえる

「歌詞」のイメージとなる単語からインスピレーションを受けてふりかえりをします。 このときはチームメンバーの一人が好きな「敗走」という歌から、「敗走」「凱旋」「必殺技」というテーマでふりかえりしました。 www.youtube.com

24. 16 Personalities

www.16personalities.com タイプ診断をそれぞれ行い、その背景にある過去の出来事や、現在の強みなどを共有します。

25. プレモーテム

「今後起こりうる最悪の未来は何か?」「その未来を引き起こす原因は何か?」「その原因を取り除くためにできることはなにか?」を話し合い、問題の予防を行います。 私たちは「相手が不快に思うコミュニケーションをさせないためには?」という「対お客様」「対チームメイト」という観点でのふりかえりを行いました。

26. ○○を成功させるためのポイント

チームメンバーの「うまくいっていること」をまねするために、成功の秘訣を聞き出します。 実際のテーマとして行ったのは「ソリューション営業を成功させるポイントは?」として、実績を多数出しているメンバーにコツを聞きました。

27. 新規メンバーのオンボーディングをどうする?

新規メンバーを受け入れるために事前にできることは何か、チームとして気を付けることは何か、を話し合います。

28. Good, Bad, Next

29. ありたい姿

30. 今週のハイライト

今週チームとして・個人としてうまくいったこと・ハイライトは何かを共有します

おわりに

1週たりとも同じテーマ、手法で行ってきているのがわかります。 また、アクションを求めるような手法は半分以下で、コミュニケーションや人に関連するテーマが多かった印象です。 私たちの事業を加速させるために、そして最高のチームにするために必要なのは、いつでも「人」です。 そこに向き合い続けた結果、自然とそういうテーマが選ばれていたように思います。

ふりかえりはこれくらい自由でいいんです。 みなさんも、何か使えそうなテーマがあれば参考にしてみてください。

2023年も残り少し。あと1か月と、そして迎える2024年も、よいふりかえりライフを送りましょう!

ふりかえりカンファレンスのふりかえりと、2023年度開催のお知らせ

ふりかえりカンファレンス2023開催決定!

この記事について

本記事は、「スクラムギャザリング&スクラムフェス Advent Calendar 2022」の10日目の記事です。 adventar.org

ふりかえり実践会で主催している「ふりかえりカンファレンス」について、お知らせとこれまでのふりかえりをしたいと思います。

そもそもふりかえりカンファレンスって?

confengine.com

ふりかえりカンファレンスは、 ふりかえりを実践している方々、ふりかえりに興味がある方々に向け、マインドセットや新しい手法の提案などに加えて、ワークショップでふりかえりを体験できるカンファレンスです。 全世界どこからでも参加ができ、エンジニアに留まらず、どんな職種の方でもどんな業界の方でも、学生も、どなたでもご参加いただける、交流の場を目指しています。ふりかえりを体験したい方、ぜひお気軽にご参加ください。

ふりかえりカンファレンスは2021年に発足したイベントで、毎年4月の第2土曜日に行っています。 来年は2023年4月8日(土)でオンライン開催です。 是非スケジュールを開けておいてくださいね!

プロポーザル募集は遅くともRSGT2023のタイミング(23年1月)にオープンしたいと考えています。 みなさんの珠玉のふりかえりセッションを楽しみにお待ちしています。

ふりかえりカンファレンスとスクラムギャザリング

スクラムフェスアドベントカレンダーに載ってるけどどんな関係があるの?と気になる方もいらっしゃるかと思います。
ふりかえりカンファレンス自体は、主にアジャイルコミュニティに属している人たちでふりかえりが大好きなメンバーによって企画・運営されています。他のスクラムフェスと違い「スクラム」という名前がついていないのは、アジャイルスクラム関係なく、ふりかえりに関することならなんでも集めたカンファレンスにしたいから、という理由です。発足自体も実はスクラムフェスとは違っていたりします。
じゃあ繋がりは何なのかというと、実行委員の方々から、ご好意のもと、ConfengineやZoom等の機材をご利用させていただいています。
2020は自分たちの保有するプラットフォーム(個人契約のZoomやConnpassなど)を使っていましたが、オープンプロポーザル形式を採用するために、Confengineをご利用させていただきました。自分たちで新規で使おうとすると本当に高いんですよね…。実行委員の方には感謝しかありません。ありがとうございます。

ふりかえりカンファレンスがなぜ生まれたか、なぜ続いているか

という真面目なふりかえりは下記の記事で2年前行っていたので、読んでいただけるとありがたいのですが、

最初から最後までふりかえりに満ちた『ふりかえりカンファレンス』 - ふりかえり実践会

「ふりかえりが好きだから」ということだけは間違いありません。
好きなものは推したい。そんなコンテンツの1つとして、ふりかえりをこれから知れる場、さらに深める場として、カンファレンスを打ち立てたかった、というのがありました。
2021年に企画・立ち上げを手伝っていただいた皆さんには感謝しかありません。
また、2022年でも新しくカンファレンススタッフとして参加いただいた皆さんや、継続して2023年もスタッフを続けてくれている皆さんもありがとうありがとう。

1日中ふりかえりの話ばかり。セッションの合間にもふりかえりをする。なんならクロージングキーノートがふりかえり。そして後夜祭もふりかえり。ふりかえりを何回ふりかえるんだというある種狂気も孕んだカンファレンスですが、非常に学びが多い一日です。
「ふりかえりってなーに?」という人から、「ふりかえり飽きてきた」という人、そして「なんか新しい知識が欲しい」という人でも大満足の1日になること間違いありません。
1年365日ふりかえりのことばかり考えている私にとっても、ふりかえりの大量インプットになるカンファレンスです。ありがてぇありがてぇ

といった形で、この世にふりかえりが好きな人がいる限り、そして私がふりかえりが好きであり続ける限り、どちらかが満たさる限り10年も20年も続いていくカンファレンスになるといいなぁと夢想しています。
少なくとも2024年もやります。2024年は4月13日(土)ですね、多分。

ふりかえりカンファレンスの過去のテーマと2023年のテーマ

テーマについては毎回スタッフで頭を抱えながら作っているわけですが、これまでのテーマをふりかえりつつ、2023年のテーマも発表します。

2021年「君も今日からフリカエル」

2021年はふりかえりカンファレンス初回として、「ふりかえり」そのものの認知を広げたい、知っている人を増やしたい、楽しめる人たちを増やしたい、という想いが色濃く表れています。「ふりかえり」と「カエル」をもじって「フリカエル」。かわいいフリカエルロゴもここで生まれました。
セッションの内容は、2つのレーンにて「これからふりかえりを学びたい人、インプットをしたい人」向けと、「ワークショップなど、手を動かして実際に体験して学びたい人」向けで分けています。

インプットレーンとアウトプットレーン

beginner向けからadvancedまでバランスよく、とはいえbeginner向けを大事にしつつ、といったセッション構成になっていたかと思います。
こういうカンファレンスだとあるあるだとは思うのですが、どうしてもインプット側に人数が偏ってしまう、という現象は起こっていました。アウトプットレーンもそれほど人数制限をかけていたものはなかったのですが、インプットレーン・アウトプットレーンで8:2くらいの人数比率だったかと思います。こちらのレーン構成は、2022年にカイゼンしようとしています。

キーノートは平鍋さん。ふりかえりといえばKPTKPTといえば平鍋さんと天野さん。
ふりかえりの入門として、「KPT」や「ふりかえりガイド」から学ぶ人は多いですし、日本国内でこれだけ「ふりかえり」を普及させてくれたのは平鍋さんらの貢献が大きいと考えています。
日本国内でのふりかえりの変化の歴史を作ってきた平鍋さんにキーノートをしていただき、ふりかえりが初めての人にとっても、慣れている人にとっても、新たな発見の多いキーノートだったと実感しています。

2022年「しる、みる、つくる、フリカエル」

2022年は2回目ということで、1回目よりもより幅広く色んなことを知れるテーマにしています。具体的には、より実践的な・一歩踏み込むようなセッションを内包しやすいテーマです。
募集セッションは以下の4つで募集させていただきました。

しる:ふりかえりの手法・事例・考え方・マインドセットなどを知るといった、「しる」から連想できるセッション
みる:参加者が「ふりかえりを実践している様子を見て学ぶ」、ふりかえりを「観る(観察する)」ときの工夫点、ふりかえりを実際にやって「みる」など、「みる」から連想できるセッション
つくる:場をつくる、関係をつくる、ふりかえり手法をつくるなど、「つくる」から連想できるセッション
フリカエル:カエルの方や、フリカエリ星人のセッション

参加者にとっては、自分が「知りたい」のか「見たい」のか「作りたい」のかという自身の状態や欲求に応じて選択がしやすいようにしています。レーンの名前は「きいろレーン」「みどりレーン」。色。
何の色かというと、カエルの二色です。きいろレーンとみどりレーンとで、前後の関係性や組み合わせ等を加味しつつセッション構成を検討しています。
2022年を実施していく中で、Miroの運用ノウハウも醸成され、Miroの中でコミュニケーション・コラボレーションを広く行えたカンファレンスの1つでした。

きいろレーンとみどりレーン

キーノートは高柳さん。
2021年にはなかった「作る」という要素がテーマに入ってきたとき、じゃあふりかえりはどこから作るのかといえば「場づくり」からだよね、と。高柳さんには「場づくり」のプロとして、ふりかえりカンファレンスの朝の最初の場づくりもしていただきましたし、場づくりというものを考えせられるきっかけも与えてくれました。キーノートによって、その後のカンファレンスが活性化する「場づくり」というのを参加者みんなで体験できました。

2023年「ふりかえりに味変を」

そして来る2023年のテーマは「ふりかえりに味変を」です。

ラーメン屋などで、自分で好きに調味料を加えていく「味変(あじへん)」。ふりかえりでも、味変したっていいんです。
ベーシックな手法を楽しみつつ、飽きたら味変したり、慣れてくると最初から味変したり、と楽しんでいる人が増えてきています。ただ、やりたいけどなかなか勇気が出ない人もいます。最初に経験した手法からなかなか逃れられなかったり、味変してみたいけどどうしたらいいのか、という人も多いのが事実です。味変をすることで改めて定番の手法の良さがわかったり、新たな発見もあります。今回のふりかえりカンファレンスでは、ふりかえりに味変を加える楽しさと、その奥深さを体験いただきます。

2021年でホップ、2022年でステップ、ときて、2023年でジャンプ、といった具合でしょうか。
守破離でいうと破のフェーズのテーマになります。

キーノートはやっとむさん(@yattom)。
近年の国内のふりかえり味変の大きな転換は、間違いなくFun/Done/Learnです。KPTが主流だったふりかえり界隈の中で、新たな主力として生まれ、今ではKPTに並ぶ手法として認知が広まっています。
Fun/Done/Learnを生み出し、Miroのテンプレートなども作り精力的に活動しているやっとむさんに、「味変」について皆さんに想いを伝えていただけないかな、と考えています。

これからセッションを募集したり、レーンの内容を考えたりするわけですが、色々とこれから楽しみなことばかりです。
運営メンバーも、登壇者の皆さんも、参加者の皆さんも、一体になって楽しめるような、そんなカンファレンスを今年も作っていきたいと思いますので、楽しみに待っていていただければ嬉しいです。

ふりかえりvTuber「フリカエリ星人」がRSGT2022で地球に降り立ってきた

 

ふりかえりvTuber「フリカエリ星人」って?

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フリカエリ星人のフーリー(右・緑)とカエリ―(左・青)

よぉ人類!我々は「フリカエリ星人」だ!
ふりかえりエネルギーを集めるため、地球から遥か数万光年、フリカエリ星からやってきた。

我々にとって、ふりかえりエネルギーは生きるために必要なんだ。
近年、宇宙におけるふりかえりエネルギーが急速に増大していることを観測した。

 

それが、地球だ。

 

我々はその調査に向かうべく、そしてふりかえりエネルギーをより増大させるために、
地球との交流をしにやってきた。

 

よぉ人類!ふりかえりの話をしようぜ!

過去の交流の場は以下のYouTubeチャンネルを見てくれ!

www.youtube.com

~フーリー&カエリ―より~

 

RSGT2022でのセッションの裏側を語る

これからは、フーリー&カエリ―の代弁として、ふりかえりの黄色いエバンジェリストこと、森一樹/びば@viva_tweet_xが、セッションのふりかえりをしていきたいと思います。

 

twitter.com

 

中の人?なんのことでしょうね。知らない概念です。

私はフーリーとカエリ―から話を聞いて、地球語に翻訳しているだけです。

この記事では、セッションの中身をふりかえりつつ、今後の新しいセッションの姿を想像していき、RSGT2023へとつなげていきたいと思います。

 

RSGT2022でのセッション概要

はじめてRSGT2022のセッション一覧を見たとき、みなさんは戸惑いを感じたかもしれません。

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セッション一覧。おや…?

 

セッションの概要も見てみましょうか。

 

フリカエリ星人との邂逅 ~ふりかえりのお道具箱&お悩み相談~

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よくわかる(わからない)セッションの概要

 

お、おう。

 

だいたいの人がこんな感想を抱いたのではないでしょうか。

 

わかる。そうですよね。

 

でも、「なんか面白そう」「今までにない体験ができそう」という感覚は得られませんか?

ファーストインプレッションでつかみ、引き込み、場に巻き込む。場に巻き込んだら、そこで一緒に作っていく。

 

こうした新しい体験をするならどこか。オンラインとオフライン両方で新体験を実現できる場が、RSGT2022でした。

 

ここからは、RSGT2022でのセッションの中身も見ていきたいと思います。

 

セッションの内容を紹介

雰囲気を知りたい方は下記のMiroにアクセスしてみてください。

セッションのすべてが詰まっています。

フリカエリ星人との邂逅~ふりかえりのお道具箱&お悩み相談~, Online Whiteboard for Visual Collaboration (miro.com)

 

RSGT2022の参加者は、Day1 West HallのYouTube動画リンク(Discord参照)から01:04:15~でセッション動画にアクセスできます。

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Miroの全体像はこんな感じ

左側がイントロダクション、中央で悩み&TIPS、右側がふりかえり、といった具合です。

イントロダクション以外の付箋は、45分のセッションの中で参加者の皆さんとフリカエリ星人の2人(2匹?)によって生み出されたものであり、予定調和なものはありませんでした。

 

 

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セッション前にMiroに入ると見えてくるイントロダクション

RSGTのセッション参加者は、各々のタイミング休憩時間のうちに会場に入ってきたり、Zoomに入ってきたりしますよね。

会場では配信準備が完了次第、休憩時間中にも画面にMiroの様子は映っていますし、Discord上でも案内が行われています。また、フーリー&カエリ―からも案内がされ続けていますので、Miroに徐々に人が集まっていきます。

 

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「よぉ人類!」「よぉ!」から地球人との交流が始まる

セッションが始まると、まずはともあれ全員で挨拶から。

 

カエリ―「『よぉ人類!』と我々が言うから、『よぉ!』と返してくれ。いくぞ、せーの、『よぉ人類!』」

 

そうして一気に流れるDiscordのチャット。そうして参加者みんながセッションに参加した状態でスタートします。

 

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我々は何者?を伝える

 

参加者からすると、登壇者であるフーリー&カエリ―に対して「お前は何者なんだ」という疑問符が浮かび続けている状態だと思うので、まずは「フリカエリ星人とは」という簡単なイントロダクションから始まります。

また、自己紹介だけでなくセッションの進め方が簡単に、改めて共有されます。

 

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悩みとTIPSを付箋で集めて投票する

そしていよいよ本題です。

最初に5分間、「悩みやTIPSを書く」「投票する」という時間が設けられます。参加者は各々、Miroで自由にボードを見たり、書いたり、投票したり、という自由時間です。その間にも、フリカエリ星人はボードに記載されている付箋を取り上げて共有していくため、この時間の動き方は参加者に完全に委ねられます。

そしてある程度付箋の動きが止まってきた段階で、投票の多いものをピックアップして、フーリー&カエリ―が解説していきます。

 

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実際の配信画面の様子。Miro上で解説が行われていく。

1つのTIPSあたり1~3分程度、フーリー&カエリ―から思い思いに解説がされていきます。この内容は事前に作りこんだものではなく、当日参加者によって生まれた質問に、当日フーリー&カエリ―が回答していく、というスタイルです。

Discordのコメントは右上のチャット枠にもリアルタイムで表示され、フーリー&カエリ―もコメントを拾いながら解説を補足したり、脱線したりしていきます。

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最後にはもちろんふりかえり

時間が来たら、最後にはもちろんみんなでふりかえり。

その場でフーリー&カエリ―が作った手法で、みんなで思い思いにこのセッションをふりかえっていきます。そんなふりかえりだらけ・ふりかえり尽くしの45分間が、終わろうとしています。

 

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最後にも挨拶。じゃあな!

そして、最初にあいさつで始まったように、最後もあいさつで終わります。

カエリ―「我々が『じゃあな!』っていうから、地球人のみんなも『じゃあな!』って返してくれ。いくぞ。せーの『じゃあな!』」

 

こうして、フリカエリ星人と、地球人との邂逅は幕を下ろしたのでした

 

セッションの裏側で「その場にいた人たち(参加者・登壇者)」に起こっていたこと

後日、このセッションに参加くださっていた、いろんな方から感想やお声をいただきました。

  • オンライン・オフラインを通じて一体感を感じられたセッションだった。
  • なるほどな、と思う話が多かったです。明日から実践できそう。
  • コメントを拾ってもらえるのがうれしくてDiscordにいろいろ書いちゃいました
  • (いい意味で)オフラインでは異様な空間が出来上がっていた。誰も配信画面を見ないで、自分のPCににらめっこしている。
  • BGMがあるのがよかった
  • (登壇者が)登壇する日に現地に行かないで、登壇しない日に現地に行くって逆でしょww

フーリー&カエリ―の目線でも、以下のようなことが起こっていることを認知しています。

  • 参加者同士で(操作や内容に関する)助け合い・ファシリテートが行われる
  • 「よぉ!人類」「よぉ!」スタンプが参加者の手によって生まれた
  • Discordで参加者同士で勝手に始まる脱線の数々
  • フーリー&カエリ―がMiroのボードを整理していないのに、参加者側で勝手に整理が進んでいた

 

これについても、画像を交えながら少しずつ紹介していきます。

オフライン側で生まれる不思議な空間

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誰も登壇者用のメインディスプレイを見ていない

ふつうのセッションだったら、ホールに集まっている人はみんな登壇者側(画像の正面

)のメインディスプレイを見るんですが、このセッションに関しては顔を上げている人がゼロ(に見える)です。これはなかなかない体験なのでは。

スタッフの皆も面白がっていました。

 

参加者同士での助け合い・ファシリテートが自然発生

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Miroの操作を教えてくれる参加者や

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現在のテーマを貼ってくれる参加者もいたり

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Miro上に貼られた画像をDiscordに転記してくれる人がいたり

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Miro上で参加者がラベル付けしてまとめてくれていたり

上記のような助け合いが自然発生していました。

面白いのが、やっているのが全部違う人なんですよね。一部の人だけがこうした活動をやっているワークショップやセッションは見かけますが、その場で参加した参加者同士が何も促していないのに勝手に助け合いを始めている。

これは、RSGT2022という場独自のものもあるかもしれないし、このセッション独特の空気だから、というのもあるかもしれません。

参加者同士で勝手に始まる脱線と盛り上がり

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セッションではBGMの話は全くしていないのに勝手に盛り上がったり

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残り時間が短くなってきた時にどうするのか、で蛍の光で盛り上がったり(もちろんそんな話はセッションでしていない)

なんかDiscordで活発にわいわいしてました。

MiroでもDiscordでも、好きなところで偶発的に集まってワイワイしている感じが好きですね。

よぉ!人類スタンプ爆誕

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ありがたい限りです。使いどころ…?

みんな使ってください。

 

こんな感じで、色々と参加者側でも生まれるものが多かったセッションのように思います。

 

セッションをふりかえって見えてきた、新しいセッションの姿と改善点

今回のフリカエリ星人のセッションをして、そして再度動画を見直してみて感じたことがいくつかあります。

オンラインでもLIVE感を味わえる、「その場に参加する」セッション

一方的に話をする・聞くだけではない、セッションという「場」に参加してLIVE感を味わうセッションを実現しやすくなってきていると感じています。

これまでは、セッションタイプの大きな分類として

  • 話をする/聞くの一方通行のトークセッション
  • 全員参加型のワークショップセッション

の両極端の2つが主体だったと思います。勿論、参加者が投票したテーマが取り上げられるパネルディスカッションなどの双方の特色を持つセッションもありますが、そういったセッションは少数かつ、「参加者もその場に参加している」という感覚が強いセッションが作りにくいものでした。

ただ、このセッションのように、「参加者がどうするか(聞く・話す・書く・見る)は参加者側に自由に委ねられつつ、その場にいる参加者たちと登壇者によってその場で作り上げられていくコンテンツ」という両方の特性を強く合わせもった形式が、オンラインの強力な配信ツールを使うことで実現しやすくなってきています。

一方通行で話すだけではない、双方性の高いセッションを実現する土壌

このセッションでは、意識的に双方向性を高める工夫をしています。ただ、ここ1-2年、参加者がオンラインでの勉強会・カンファレンス・会議などへの参加することに慣れてきたこともあり、「場を上手に用意すれば、あとは参加者同士で補完する」ことが可能になってきているのでは、と思います。

これまでは入念に場を設計して、導入して、そうしてはじめて参加者同士のインタラクションが生まれてくる、という状況でしたが、RSGT2020, 2021, 2022と進んでいくたびに、インタラクションが高度に行われるようになってきているのを感じています。

これはRSGTだけでなく、普段のフーリー&カエリ―のイベントや、ふりかえり実践会コミュニティのイベントでも同様に感じる変化ですので、オンライン慣れした参加者が多くなってきているのもよい影響を与えているのでしょうね。

「動画をあとで見る」人のための工夫が必要

「その場に行かないと見れないセッションしかない」カンファレンスやイベントが、「参加登録しておけばあとで動画で見直せるセッションが多い」ものへと変遷してきています。

今まではオフラインでしか参加できなかったカンファレンスが、オンライン化・ハイブリッド化が進むことで配信技術・知識が蓄積された結果だと思います。

 

オフライン→オンラインへ進んでいった2020年~2021年では、

オンラインで得られていた参加者体験を、オンライン側でどのように実現するか(または新しい体験をどのように設計するか)

に注力してきましたが、オンラインが当たり前になった今、

オンライン(そのとき参加すること)で得られる参加者体験を、動画で見たときにどのように再現するか

も大切になってくるのだと思います。

実際にカンファレンス終了後にいろんな人とセッションを同時視聴してみて、

  • (動画の視覚的な情報量が多いので)動画のどこを見ればいいのかすぐにわからない
  • 話を聞けばいいのか、見ればいいのかが直感的にぴんとこな

といったご意見をいただきました。

これは、現地参加していることでDisocrod・Miro・現地などで参加者同士で補完されていた情報がなくなったことが「動画を見るだけ」に切り替わって、自分一人で補完するしかなくないため、足りない情報量を補いきれないこと。

また、参加者側が取れる手段が「見る・聞く・話す・書く・手を動かす」から「見る・聞く」だけに限定されること。それによって減る参加時のLIVE感の減衰や、情報量の減少などがあります。

 

Podcastや動画収録などでは、「後から聞く・見ることが前提」のため、視聴者に向けた仕掛けがいくつも取り込まれていました(#ふりかえりamもそう)。それらの仕組みを、カンファレンスのセッションの中でも、登壇者側が取り込むことで、後から見る人たちの理解・満足度を上げることにも直結していくのだと思います。

こうした仕掛けをカンファレンス・勉強会側が行っていくにはまだまだ変化には時間がかかるはずです。登壇者が自分たちで、そうした仕組みを取り込むことも必要になってきているのかもしれません。

 

その場にいる人も、あとで見る人も満足できる驚きのあるコンテンツの必要性

その場にいる人たちは、コンテンツの内容を自分たちで選択して作り上げることができます。その場で参加者の多数決・人気投票などによって選択された内容だからこそ、コンテンツの内容が普遍的なものであったとしても、満足感のある、納得感のあるものになるでしょう。

ただ、あとから見る人はどうでしょうか。コンテンツの選択は自分ではできませんし、納得感も得られにくい。そんな状態で普遍的なコンテンツを見ても「へー、いつものよく聞く話だ」という感覚になってしまいやすいんじゃないか?と思います。

コンテンツ選びの際にも、多数決・人気投票だけでなく、何かしらのカオス(予想不可能ななにか)があることで驚きも生まれてきそうです。そのカオスの種は、登壇者からいきなり投げ込まれるものではなく、参加者から投げ込まれたものであれば、満足感・納得感も得やすく、その場で新しい何かが生まれる期待・わくわく感も出てきそうです。

用意されたコンテンツとしてではなく、その場で一緒に作りこむ意外性の高いコンテンツ。これをやることで、あとから見る人にも驚きのある体験を届けられるかもしれませんね。

 

そしてRSGT2023へ

色々と妄想も膨らんだところで、来年のRSGT2023に向けて、新しい実験をたくさんしていきたいと思います。

フーリー&カエリ―がセッションにやってくるかはわかりません。ただ、双方向性の高い、そして今年ではできなかった新しい体験を、来年のセッションでも作り上げていきたいと思っています。

これからも、応援していいただけると嬉しいです。

【コラム寄稿者募集のお知らせ】ふりかえりに大事な47のこと(仮)

コラム寄稿者募集のお知らせ

ふりかえり実践会より、新たなふりかえり書籍として、「ふりかえり」のTIPSをまとめた本を書こうとしています。 今回は、いろんな人の現場で実践されている「実践知」を集めたオムニバス本にする予定です。 みなさんのふりかえりに関するTIPSを、どんなレベルや粒度でもいいので、是非教えてください!

書籍のターゲット

すでにふりかえりを知っており、実践している人。 「ふりかえりって何?」という人はターゲット外です。 ふりかえりに悩んでいる、ふりかえりをもっと楽しくしたい、そんな人たちに向けて、 「私たちは現場でこんなふりかえりをしているよ!」というのを届けたいです。

書籍イメージ・目次

  1. ふりかえりTIPS(1コラムあたり1~2ページ)
  2. ふりかえりの手法(1コラムあたり1~4ページ)
  3. ふりかえりの実践例(1コラムあたり1~4ページ)
  4. ふりかえりの悩みに回答します

募集内容

以下のいずれかのテーマで、書きたい内容を是非ご寄稿ください。

ふりかえりTIPS

「心構え・マインドセット」「進め方・ファシリテーション」「準備・道具」「その他」など、ふりかえりをするうえでおすすめしたいTIPSをご紹介ください。 1コラムあたり、1~2ページの分量(※1ページあたり800~1200文字程度)でご寄稿ください。

(テーマ例)

  • ふりかえりでは●●を考えることが大事なんだ!
  • ●●に気を付けよう
  • ファシリテーションのテクニック
  • 発散・収束の上手なやりかた
  • リモートふりかえりにおすすめな道具・ツール
  • ツールの便利な機能
  • その他なんでも
ふりかえりの手法

「既存の手法の紹介」「既存のふりかえり手法に対するTIPS」「新しいふりかえりの提案」など、手法にかかわる話を募集します。

1コラムあたり、1~4ページの分量(※1ページあたり800~1200文字程度)でご寄稿ください。 どのような手法なのか、画像も添えていただけるとより伝わりやすくなります。

(テーマ例)

  • 私の現場のKPTのやりかた
  • 手法●●に●●を加えるといいぞ
  • 手法●●の紹介
  • ●●なチームでやってる手法「●●」
  • 新しい手法「●●」を提案
  • その他なんでも
ふりかえりの実践例

「実践例・成功例」「チームの変化」「失敗談とそのふりかえり」など、ふりかえりをやってみてどういう風になったのか、を読んでもらい、真似してもらったり他山の石としてもらうためのコーナーです。

1コラムあたり、1~4ページの分量(※1ページあたり800~1200文字程度)でご寄稿ください。 どのようなチームなのか、チームの背景も含めてご記載ください。 ふりかえりの様子の画像も添えていただけるとより伝わりやすくなります。

(テーマ例)

  • チームでずっとKPTを続けてきての変化
  • はじめて●●をやってみた結果
  • ふりかえりを通じてチームに起こった変化
  • ●●をやってみたけどうまくいかなかった話
  • その他なんでも
ふりかえりの悩み

現場で抱えている悩みを、「フリカエル(キャラクター)」が回答します。 1~4行程度で、ふりかえりの悩みを送ってください!

コラム内容の利用

RSGT2022の下記のセッションでご紹介させていただきます。 https://confengine.com/conferences/regional-scrum-gathering-tokyo-2022/proposal/16135

コラム寄稿者募集へのお礼

書籍完成時に、PDF版+印刷版をお送りします。 原稿料は発生しませんのでご了承ください。

締め切り

第一次募集:12/31までに Twitter(@viva_tweet_x)またはDiscord, Facebook まで参加のご連絡をください。 GitHubへのリンクを送ります。 入稿方法は以下のいずれかで行えます。 第一次締め切りは1/31です。

書籍の発売について

技術書展・技書博などのイベントで発売します。 また、BOOTHにて販売予定です。

書きたい人はこちらへご一報ください

twitter.com

最初から最後までふりかえりに満ちた『ふりかえりカンファレンス』

『ふりかえりカンファレンス』を開催しました

こんにちは。森(びば@viva_tweet_x)です。

2021年4月10日(土)に『ふりかえりカンファレンス』を開催しました。

retrospective.connpass.com

 

日本で(多分)初となる『ふりかえり』に特化したカンファレンスです。

 

この記事では、ふりかえりカンファレンスの発起人であり、スタッフであり、登壇者でもあり、参加者でもある私の目線で、ふりかえりカンファレンスをふりかえっていきます。
この記事を読んで、カンファレンスに参加した皆様だけでなく、ふりかえりに興味を持っている人にも、カンファレンスの楽しさが伝われば嬉しいです。

参加者・登壇者・スタッフの皆様にとっては、この記事によってカンファレンスを思い出し、ふりかえる一助となれば幸いです。

(読むのに必要な時間:10分) 

『ふりかえり』に溢れたカンファレンス

Connpassより引用:

ふりかえりカンファレンスは、 ふりかえりを実践している方々、ふりかえりに興味がある方々に向け、マインドセットや新しい手法の提案などに加えて、ワークショップでふりかえりを体験できるカンファレンスです。

 全世界どこからでも参加ができ、エンジニアに留まらず、どんな職種の方でもどんな業界の方でも、学生も、どなたでもご参加いただける、交流の場を目指しています。ふりかえりを体験したい方、お気軽にご参加ください。

 

上述のとおり、ふりかえりをテーマにした、ふりかえりに関わる人、ふりかえりに関わりたい人のためのカンファレンスです。

オンラインで行われ、一般参加113名、登壇者19名、スタッフ12名計144名にご参加いただきました。参加いただいた皆様、本当にありがとうございます。

 

セッションは『インプットレーン』『アウトプットレーン』の2つのレーンに分かれ、進行していきます。

『インプットレーン』はふりかえりの事例、ファシリテーション方法、マインドセットに関するセッションを中心に集め、『聞いて学ぶ』ことに特化したものを集めています。『アウトプットレーン』はふりかえりの手法の実践、新しい手法の提案、ワークショップなどを集め、『実践して学ぶ』ことに特化したものを集めました。

2つのレーンに分けることで、こうしたカンファレンスに初めて参加する人にとっても、慣れている人にとっても、参加の目的に応じて自由にセッションを選択できるようにしたかったという想いからこのような構成にしました。

セッションは以下のような分類となりました。

  • オープニングキーノート(60分) 1件
  • LT(5分)8件
  • 講演(20分)4件
  • 講演(45分)2件
  • ワーク(10分)2件
  • ワーク(20分)3件
  • ワーク(45分)2件
  • クロージング収録(60分)1件

LT・講演は、時間いっぱい講演を聞くという形式。

ワークは「講演+ワーク」という形式になっており、参加者が実際にふりかえりを体験するような内容です。

ただ、講演セッションにも、参加者とのインタラクションを取り入れたものも多く、参加者に実際にふりかえりを体験できる場もありました。

全セッションがふりかえりの要素(学び+体験)が詰まっているセッションであり、参加者にとって新しい発見が生まれたり、過去をふりかえるきっかけになったと実感しています。

 

また、このカンファレンスの最大の特徴は『ふりかえり』がセッション後に必ず組み込まれていることです。

セッションの合間の休憩の時間は『ふりかえり&休憩』です。

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セッションの合間に挟まれる『ふりかえり』

セッションが終わるとすぐに、参加者全員でセッションのふりかえりをして、学びや気づきを共有する場があります。カンファレンス共通のMiroボードに集まり、セッションのふりかえりを書いていくのです。

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Miroでみんなでふりかえる

セッションで学んだことを、すぐにふりかえる。そしてセッションの最中に感じたことや気持ちをその場に残しておく。そうしておくことで、後でセッションやカンファレンスをふりかえるときに、ふりかえりの効果を最大化できると信じているためです。

この考え方は「フラクタル」のふりかえりフレームワークを採用しています。

qiita.com

 

そして、最後に行われるのは『クロージング収録』という名のカンファレンス全体のふりかえりです。『ふりかえりam』のパーソナリティであり、カンファレンススタッフでもある森・KANEの2人で、インプットレーン・アウトプットレーンの全セッションをふりかえります。

参加者全員にカンファレンス全体のふりかえりを『 ファン・ダン・ラーン(FDL)」』で行いました。この人数全員でふりかえるのは圧巻の一言です。

また、1日のセッションすべてを私たちがふりかえる様子を聞きながら、記憶を引き出し、結びつけ、再構築していきます。

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参加者全員でふりかえるのは圧巻

こうして、ふりかえりのことをひたすら学び、ふりかえりを細かく繰り返し、最後にふりかえりをして、次につなげていく。そんな1日が過ぎていきます。

 

また、カンファレンスの1週間後には「公式後夜祭」として、ふりかえりカンファレンスを参加者で改めてふりかえる機会もあります。
(こちらは参加者限定ですが、空いている方はぜひご参加ください)

retrospective.connpass.com

 

ふりかえりで始まる、ふりかえりで終わる。そんなカンファレンスが『ふりかえりカンファレンス』です。

 

ふりかえりの楽しさ・奥深さを伝えたい

このカンファレンスは、私が2年間、夢に見てきたものの1つでした。


「ふりかえり」に特化した話を1日中話したい。
聞きたい。
実践したい。
そして一緒に語らいたい。
そんなカンファレンスを開いてみたい。


この想いは、実は2019年から心のうちに秘めていました。

きっかけだったのは、当時私がよく参加していたDevLOVEというコミュニティの10周年イベントである『DevLOVE X』。

さまざまな道で活躍されているスペシャリストたちが発表する、まさにお祭りでした。

その頃、私は『ふりかえり実践会』でふりかえりを実践出来るワークショップを定期的に開催したり、『ふりかえり読本 場作り編~ふりかえるその前に~』を書き上げて「楽しいふりかえり」を世に広げるために尽力していました。

 

 

そんな中で「DevLOVE X」が開催される情報を目にしたとき、私の中にある思いが浮かびました。

 

私もお祭り感のあるイベントを開きたい。
私が愛している「ふりかえり」で、これだけの人たちが集まるようになったら、どんなに素晴らしいことだろう。
私も彼らのように誰かに影響を与えられるようになりたい。
そしてそれが「ふりかえりって楽しいんだ」という思いを抱いてくれたら最高だ。

 

当時の私には「カンファレンスを企画する」ことに、自分に出来るのだろうかという不安、人が集まるのだろうかという不安など、不安でいっぱいでした。

これらの想いは誰にも言わずに、そっと閉じ込めていました。

 

そうして時が経ち、『ふりかえり実践会』のイベント実行回数も増え、イベント企画にも慣れていったり、『Regional Scrum Gathering Tokyo』や各地での『スクラムフェス』に参加して、様々な人たちと関わりを広げていくうちに、「この人たちに想いを伝えれば、実現できるかもしれない」という想いが強くなっていきました。

また『ふりかえりam』で何十時間も一緒に収録を続けてきたKANEさんと一緒なら、きっとなんとかなるだろうという信頼もありました。

 

そうして「やってみようかな」という想いを伝え、生まれたのが『ふりかえりカンファレンス』です。

 

カンファレンス企画時から「ふりかえり」を大切にしていく

ふりかえりカンファレンスはこんなふうに始まりました。

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ふりかえりカンファレンスのはじまり

最初に『ふりかえり実践会のDiscord』で想いを伝え、カンファレンス企画・運営に興味のある人を募りました。当時は私が『ふりかえりガイドブック』の執筆で忙しかったのもあり、ベストエフォートで無理なく、スモールスタートで、を信条にして、それを伝えています。

そうして集まってくれた仲間と、最初のミーティングをZoomで行い、HackMDでメモを書き連ねながらカンファレンスの企画をスタートさせました。

 

最初に全員で決めたルールは、こちらです。

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ふりかえりを大事に。

ミーティングの最後には、必ず楽しくふりかえる。これがチームの中心となったルールです。毎回21時にミーティングを開始し、23時に終わる。そんな流れを毎回続けていく中で、21時40分ごろからはふりかえりが始まります。

ミーティングのふりかえりでも「必ず改善しなきゃ」ということもなく、楽しくふりかえりを実践することに注力していました。

全13回行われた運営のミーティング。約26時間の中で、ふりかえりカンファレンスの形が徐々にできあがっていきました。

ふりかえりの中でも、新しい手法が生まれていきました。新しい手法は★をつけています。

 

  1. Fun, Joy, Keep, Learn, Problem, Try, Action★
  2. ORID
  3. ポジティブ星人
  4. 3Ls
  5. ふりかえりカンファレンススタッフチームの心得
  6. Mad(怒), Sad(悲), Glad(喜)
  7. ハピネスレーダー
  8. KPT
  9. ひな祭り(三人上戸)★
  10. 象、死んだ魚、嘔吐
  11. ホワイトデー ★
  12. Fun / Done / Learn
  13. Good & Bad & Next

みんなでふりかえりのやり方をさくっと話し合って、新しい手法を生み出すときには生み出して、hackMDに書いていき、自発的に共有する。その場で新しいActionやバックログが生まれたら、すぐに実行するか、積んでおく。

そんな形で、計13回のふりかえりをしながら、ふりかえりカンファレンスは生まれていきました。

 

カンファレンス企画・運営はアジャイルスクラムな形で

ミーティングにはMiroのボードを使いながら進めていきました。

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企画・運営のMiroの全体像

左の縦長のものがバックログ。毎回打ち合わせの最初に「今後何をすべきか」というバックログを挙げる『プロダクトバックログリファインメント』を行い、「今日何をするか」という『スプリントプランニング』を実施し、打ち合わせの情報はすべてMiroに書き残していきます。そして打ち合わせの最後には『次回以降何をすべきか』が見えてくるので、改めて『プロダクトバックログリファインメント』を行い、最後に『ふりかえり』をして終了。実際にはスクラムでやる、スプリントを重ねる、という意思共有は何もしていませんでしたが、自然とこうした形で進めていきました。

 

カンファレンス運営が初めてのメンバーも多く、分からないことも多かったですが、他のカンファレンスの情報を参考にしてみたり、経験者から話を聞いてみたりしながら、自分たちの出来る範囲を次第に広げていきました。

 

ミーティングも、ミーティング外の参加や活動はベストエフォートです。ミーティングのなかでモブで進めていくのが基本で、ミーティング外で何かを積極的にした、というのはあまりなかったように思います。

私も全13回のミーティングのうち、2回はお休みして他の方に進めていただきましたが、いい感じに進んでいました。ありがとうスタッフの皆さん。

 

スタッフが互いに信頼しあって、自分の出来る範囲を無理なくやる、という「長所を活かし合う」スタイルが、運営でうまくいったポイントかなと思います。

 

なお、あとで運営そのものをふりかえれるかな、とも思い、ミーティングの様子はすべてZoomで録画してYoutubeに上げています(※スタッフ限定でURL公開しています)が、こちらはいつか使われることになるかもしれません。

 

そして、ふりかえり溢れるカンファレンスになった

そして当日。

スタッフの献身的な協力、参加者の盛り上がり、登壇者の素晴らしい発表。これらが化学反応を起こし、すばらしいカンファレンスを行うことができました。

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ふりかえりカンファレンスのみんなのふりかえり全体像。全体像が大きすぎて、キャプチャが取れない。

来年もやりたい。そんな気持ちが出てきたため、来年の開催もする予定です。

今回の登壇者の皆さんにもじっくりお話を聞かせていただきたいとも考えていますので、今後ふりかえりamで登壇者の方に再演していただく機会を作らせていただきたいと思います。

 

 

ふりかえりの楽しさを、広げる。

今後も、私や『ふりかえりカンファレンス』では、ふりかえりの楽しさ・奥深さを広げていきます。ぜひ、みなさんにも、「こういうふりかえりをしてみた」「楽しいやり方を見つけた」「こういう考え方もあるよね」といったものが見つかったら、発信してみてください。

ふりかえりの世界が、これからも広がっていくのを楽しみにしています。

 

Developers Summit 2021 のブースでふりかえりの話をしてきました

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こんにちは。森です。

2021年2月18日-19日に開催された『Developers Summit 2021 』に参加し、ふりかえりの話をしてきました。 また、今回はコミュニティブースにも出展し、色々なふりかえりに関する話や雑談をしてきました。

この記事では、ブースの話をしていきたいと思います。 ブースの中でどういう苦労があったのか、どうやって運営していったのか。 オンラインのブース運営に興味のある人に、この記事が届けば幸いです。 セッションの話は、別途どこかで。

(読むのに必要な時間:5分)

EventInでのコミュニティブースの参加

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1日目、2日目に、休憩の時間が長めにとられています。

12:20~13:05(45分間) 15:25~16:25(60分間)

この105分間×2日分(計210分間)、EventInのブースで様々な企業・コミュニティの人と交流できる場が提供されていました。

私はコミュニティ『ふりかえり実践会』として、ふりかえりにまつわる雑談や悩みなどを話す場を提供していました。

オンラインブースは難しかった

今回、多くの企業やコミュニティが苦戦していたと思います。 その苦戦には、いくつか理由があると思います。

①そもそも見つけにくい

オフラインのデブサミであれば、セッションの合間にふらっと立ち寄ったり、話を聞いたりできるのですが、 オフラインのデブサミでは、そもそもセッション視聴用のサイトと、EventInのサイトが異なります。

オンラインセッションでは4000人を超える参加者が来場されたようですが、EventInに参加している人数は、最大でも250人程度でした。 (上の画像はEventInが最も盛り上がっていた、2日目の休憩時間。これでも228人となっていますね)

②入るのに勇気がいる

オフラインと異なり、セッションに入ってみないとそもそも誰がいるのか見えない状態です。 もちろん、アイコンで写真の表示は可能です。それでも、知らない人のアイコンが表示されていたとしても、一人で話に行くでしょうか。なかなか、それは難しいのではないかと思います。

ブースに1人で待ち受けているところに、ファーストペンギンとして突っ込んでいくのにはすごく勇気がいります。 2人目、3人目となれば、「聞き専(ROM)」でも大丈夫そう、という安心感があるため、その勇気は少しで済むでしょう。

ブース番を1人でやっていた企業やコミュニティは、こうした「ファーストペンギンを待つ」状態になってしまっているのが散見されました。

③営業色が強そう

これはブースの都合上しょうがない…かもしれません。 ブースの説明や、ブースの皆さんがチャットで発信している内容に営業色が強そうで、参加者にとって近寄りがたいというのもあるでしょう。

「〇〇の企業の説明をします」 「〇〇の仕事について興味があれば是非きてください」 「〇〇の採用について話します」

といったような内容がチャットでは常に飛び交っていました。 興味のない人だと近寄りがたい感じがしますよね。

アピールしないと人が来ないかもしれないし、アピールしすぎると人が来ないかもしれない…。 そういう板挟みの中で、ブースの皆さんは頑張っていたように思います。 本当に、お疲れ様でした。

④最大人数が少ない

今回、ブースには10人までしか入れない設定になっていました。 10人って入るのに少し躊躇が必要な人数だと思うんです。 すぐ埋まってしまう可能性もあるし、人数ギリギリのところには入りづらい、というのもあるかもしれません。 実際に雑談の中で出てきましたが、「聞き専の自分が1枠埋めてしまうのもなぁ…」と考える参加者もいたようです。

もうちょっと余裕のある人数設計だと、入りやすかったのかもしれませんね。

このように、様々な要因で、オンラインのブースは難しさがありました。 もちろん、デブサミだけでなく、他のイベントも同様で、「オンラインブースはどうしても人が集まらない…」といった話はよく聞きます。

それでも、よいところはたくさんあった

デブサミの運営の皆様も、色々と配慮したうえで設計していたはずで、試行錯誤している姿も見られました。

①1日目と2日目でコミュニティの設計が変わった

びっくりしました。 1日目は、「企業」ブースと「コミュニティ」ブースでタブが分かれていましたが、 2日目になると、「企業&コミュニティ」に合体していました。

個人的にはコミュニティブースと別々のほうが(集客的には)ありがたかったのですが、 参加者的には一緒になっていたほうが色々回遊できるのでいいんじゃないかと思います。

こうした変更が、スピード感を持って行われているのはとてもよいと思います。

②実行委員やコンテンツ委員の皆さんが来てくれる

にぎやかしとして、実行委員長の近藤さん(ゆうこりん)や、コンテンツ委員のJ.K.さんなど、ブースを巡ってきてくれていました。 これが結構ありがたいんですよね。寂しく一人でやっているときには、かなり心強い。

③チャットでコミュニケーションできる

EventInのいいところとしては、チャットでもコミュニケーションができる点。 マイクやカメラを持たない参加者もいるので、そういう人たちがしゃべっている人たちに混ざろうとすると、チャットになります。 また、マイクがあったとしても、「声を出すのはちょっと…」という人が一定数いるので、そういった人たちの拠り所としてチャットが使えるのは非常によかったと思います。

「ふりかえり実践会」でやったこと

ありがたいことに、1日目はのべ18人、2日目はのべ23人、計41人の方々に来訪していただけました。 毎回顔を出してくれた人もいて、そのたびにふりかえりトークをしたりして、とても嬉しかったです。

なんやかんやで人が集まったのはなんでかなー、と分析してみました。

①名前がゆるい

「ふりかえり実践会」ですからね。名前からしてゆるいです。 企業名よりは人が集まりやすかったのかもしれないですし、「ふりかえり」っていう単語が分かりやすいので、何やってるのかが明確だったのかも。

②宣伝がゆるい

全体チャットでビシッと決まった宣伝文句が流れている中

「セッションのふりかえり、みんなでしましょー。ふりかえり実践会にわいわいしにきてくださーい!」

というゆるい宣伝しかしていませんでした。 宣伝によって人が来たのか、はちょっと分かりませんが、初めましての方も多かったです。

Podcast的に

基本的には入ってきた人と

・セッションのふりかえり(互いに共有) ・ふりかえりの悩み相談 ・アジャイルなどの悩み相談

という内容で話を進めていきました。 話したい人がいるときには対談しつつ、いなければ私がしゃべり続ける形式です。比率は半々くらいですね。 聞き専の人も多いので、チャットに悩みをかいてもらいつつ、基本的には私が一人でずっとしゃべり続けます。 休み時間中、ずっと聞いてくれていた人もいました。ありがとうございます。

③に関しては1年間続けた『ふりかえりam』のスキルが役に立ったなと感じています。

④雑談ベースで悩みも聞く

基本的には雑談ベースで、みんなも聞きたいであろう「セッションのふりかえり」をメインテーマに話を進めていきました。 悩みがある人にはチャットに悩みを書いてもらったうえで、解消していきます。 悩みも10件弱解消していきました。 多くの内容が、私がセッションで話そうとしていた内容が多かったので、セッションの内容を先出しして伝えさせていただくこともありました。 結果として、私が伝えようとしている内容が、みんなが困っていることなんだなぁという実感を得られたのも、とてもよかったです。

みんなが悩んでいたこと

このような悩みが寄せられました。

「どうやってふりかえりを始めればいいのか?」 「ふりかえりがマンネリ化してきているが、どうすればいいのか」 「Problemばかりしかでないふりかえりをどう変えていければいいのか」 「周りの人にふりかえりの効果をどう説明すればいいのか」 「オンラインでふりかえりをうまくやるためには?」

こうした悩みは、多くの人が抱える悩みです。 周りに同じような悩みを持っている人はたくさんいるため、悩みを共有するだけでも、違ったコンテキストでどう解決していったのか、という事例やアドバイスをもらうことが出来ます。

これらの悩みはセッションの中でも伝えています。 是非、似たような悩みを抱えている人がいれば、スライドを見ていただけると幸いです。

speakerdeck.com

また、もっと詳しい内容を『ふりかえりガイドブック』でもしていますので、気になる方は書籍を手に取っていただけると嬉しいです。

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