ふりかえり実践会

「ふりかえり実践会」の活動紹介ページです

ふりかえりの手法いろいろ30種/ふりかえりのサイクルと目的

本記事の目的

私たちのチームオキザリスでは、ふりかえりの回数が5000回を超えました。 色々なサイクル(期間)でふりかえりをしており、目的も様々。 その中でどんな手法でふりかえっているのか?をふりかえっていきます。 出典がなくオリジナルの手法が多いので、面白そうなものをピックアップしてみて、 皆さんのチームでも試してみていただけると嬉しいです。

ふりかえりのサイクル・目的

ふりかえりのサイクル(期間)やチームの状況に応じて、ふりかえりの目的は異なります。 これまで各種書籍(ふりかえり読本やふりかえりガイドブック等)やブログ、 Qiitaなどで理論は伝えてきましたが、ここではチームにおけるリアルな姿を伝えていきます。

ふりかえりのサイクルと目的は以下のような関連付けをしています。

1時間に1回

「立ち止まる」ことが目的です。立ち止まって思考を整理したり、悩みや困っていることを吐き出して助け合いや即時解決を促したり、雑談に繋げてチームの関係性並びに心理的安全性の向上につなげたり、といった内容が副次的な目的となります。

手法は下記のようなやり方です。固定のルールはありません。

  • チームの「ふりかえり」用のチャットに一言書く
  • 他の人と雑談する、困っていることを言葉で共有する
  • 仕事の手を止め一瞬思いを巡らす
  • 仕事の手を止め体を動かす

忙しい、手が回っていないメンバーほど、立ち止まりがなおざりになりがちです。仕事をし続けていると、すぐに相談すれば問題解決できるものが放置され続けてしまったり、(比較的)手が空いているメンバーにお願いをしたり、という思考から離れていきます。「仕事のキリが良くなったら立ち止まる」のでは結局次の1時間後まで仕事を続けてしまいがちなため、NGとしていて、「時間になったら強制的に立ち止まる」ように言い続けています。

チームでは HH:00 のタイミングに立ち止まるようにしていますが、次の時間に打ち合わせが入っている場合は、打ち合わせに行く前に HH:58-00 ごろに立ち止まってふりかえりをするようにしています。

時間になったら自発的に立ち止まるメンバーもいれば、仕事に没頭しているメンバーもいるので、そういうメンバーがいる場合は「⚪︎⚪︎時でーす、止まれー」とチームみんなに声がけします。そこからふりかえりや会話がスタートします。

今週木曜日にふりかえっていたのはこんな感じ。チャットに吐き出しながら、Zoomで会話が進んでいきます。

特定の打ち合わせ後

お客様との打ち合わせ後や、セミナーの実施後に、「先ほどの打ち合わせはどうだった?次どうする?」といった会話が自然と行われます。情報を即時共有し、意思決定ならびに、プロセスの改善と問題解消をするのが目的です。

チームオキザリスでは、常時Zoomに接続しており、打ち合わせのタイミングでチームのZoomから出ていき、終わったら戻ってくる、という働き方です。戻ってきたタイミングで「ただいま」と声が聞こえてくるので、「さっきの打ち合わせどうだった?」「こんな感じでした。相談したいことが...」というふうに会話につながっていきます。

複数人が同時に参加した打ち合わせでは、打ち合わせ後に再度チームZoomに集まって、「次どうする?」という役割分担やアクション決めが行われます。

営業や企画の打ち合わせ後には、話し方や伝え方についての相互フィードバック、アドバイスなどが行われることもあります。

1日に1回

業務終了のタイミングで立ち止まり、1日の学びや課題などを共有します。目的や手法は1時間のふりかえりとあまり変わりませんが、長めの雑談や相談に繋がりやすい傾向があります。 テーマはコミュニケーションについてや、案件の現状や課題、ビジネス戦略、チームのプロセスなど多岐にわたります。

「今日はどうだった?」という声かけから始まることも多めです。 チャットで1日にフォーカスしたふりかえりになっていきます。

私がインフルエンザで倒れてても各自でふりかえっています。

1週間に1回

大目的は「チームの未来のため」です。価値観の共有、目的の合意形成や共有、プロセスの改善、などなどフリージャンルでふりかえりを行います。 大枠は「チームビルディングチートシート」の各要素・マインドセット・活動に沿った内容や、「ふりかえり読本 実践編」での「ふりかえりの型」に沿った内容になっており、チームにとって今何が必要か?を毎回チームメンバーみんなで話しあってふりかえりをしています。

1週間に1回のふりかえり手法についてはたくさんありますので後述します。

1か月に1回

事業目線でふりかえりをします。私たちのチームはメンバーひとりひとりが個別にプロダクトを持つ「プロダクトオーナー」として活動しており、チーム内で行われる事業も複数・多岐にわたります。 それぞれの事業の中でどんなことが起こったのか、チームにどんな影響を与えたのか、についてふりかえりを行うことで、中長期的な目線でのアクションを立てやすくしたり、各自がオーナーシップを持ちやすくする、という目的があります。 新しく入ってきたメンバーへのオンボーディングにも、私たちの事業の歴史を説明しやすくするメリットもあります。

ヨコの緑色の線1本が1事業を表しています。何らかの事情で事業をストップさせたものは赤い色で行が終了してるのが分かると思います。 それぞれの事業ごとに、何を行ったのか、どんな変化があったかをみんなでふりかえります。

6か月に1回

上期、下期の終了タイミングで、事業成果目線でふりかえりをします。 やっている内容は1か月に1回のふりかえりに近いですが、「立ち上げた事業数と状況」「売上」「利益・利益率」「案件数」「セミナー回数とCVR」などの定量情報を中心に全員でふりかえりします。主目的は報告のためで、このふりかえりの結果を参考にしながら(勿論他の情報も使いながら)私が報告資料を作り、上層部へ成果報告しています。このふりかえりで出てきた内容はチームの事業としてアピールしたい・印象が強いものになりますので、マネージャ側としても周囲に強くアピールしやすくなります。

1年に1回

年末年始に「今年はどうだったか?」「来年どうしたいか?」というテーマでふりかえります。 チームビルディングとモチベーション向上が目的です。

その他のふりかえり
  • ベンダーと一緒に3か月に一度QBR(Quoter Business Review)の実施。細かな数値を見ながら、来期戦略を立てるのに利用します
  • セミナー実施後にセミナーのふりかえり。ベンダーと共催していた場合は、共同で行います
  • 障害発生後のふりかえり。全員で障害の共有をして、なぜなぜ分析をして再発防止します。

ふりかえりの手法いろいろ30種

毎週行ってきた手法やテーマを紹介していきます。 2023年に実際に行った手法30種を紹介します。 細かいやり方は特に定めておらず、その場で手法を作り、行うことがほとんどです。

1. 年末年始に何をしていた?

年末年始どう過ごしていた?をみんなで共有します。 互いのプライベートや内面が垣間見えるふりかえりです。

2. チームのコミュニケーションをよりよくするためにできることは?

チームのコミュニケーション上で「ここがつらい」と言う部分を互いに伝え合い、改善を図ります。 個人の問題に落とし込むだけではなく、伝え方を変えてみたり、チームとして仕組みでカバーできる部分はないか、等を考えます。

3. 面倒くさいと思っていることを挙げる

「仕事の中で面倒くさい」と思っているところをひたすら挙げます。共有することで問題解消につながる動きがしやすくなったり、改善・放置するかの判断もしやすくなります。

4. 翌月をどう切り抜けるか?

繁忙期になるのが予想されている際に、その期間をどうやって乗り切るかを事前に話し合います。

5. やりがい

業務・事業への「やりがいを感じているところ」「実はやりがいを感じられないところ」を話し合います。 各自のモチベーションがわかり、助け合いにもつながります。

6. あたりまえ探し

7. チーム内1on1

ふりかえりの時間を使って、ペアを組んで30分ずつ1on1します。 テーマは自由で、互いのことについて話し合います。

8. 期待マネジメント

ドラッカー風エクササイズ/期待マネジメントを実施します。 互いへの期待値と、自分がどうふるまいたいかをチームへ表明します。

9. 3年後にどうなっていたい?そのために何をする?

キャリア目線・事業目線など、「3年後私は…」というのを想像して共有します。 3年ごとのギャップから、どういう成長をしていくべきか、どういう仕事を経験すべきか、というところが見えてきて、チームの中での業務の作り方に影響を与えてくれます。

10. チームの状態を「即興性」の視点からふりかえる

speakerdeck.com チームがどういう状態なのかを各々の観点で表明します。 そして、チームがどうあるべきかを話し合います。

11. Easy as pie

www.funretrospectives.com チームというピザに具材(付箋)をたくさんのっけよう!

12. チームのモチベーター

ひとりひとりがチームの仕事の中でモチベーションにしていることは何か?を共有します。 Management 3.0のMoving Motivatorsに近いですが、それよりもフリートークで好きにモチベーターを語っていきます。

13. 喜、怒、哀

14. YOW

15. 最近のヒヤリハット報告会

業務の中であったヒヤリハットを共有し、同じ轍を踏まない&実際に事故を起こさないようにどうするかを話し合います。

16. ぶっちゃけ今でも理解できていないこと、業務は?

「今更分かってない、なんて聞けない…」ということをぶっちゃけます。 チームに新メンバーが入ってきたときに行い、「みんな似たような悩みがあるのか、不安に思わなくていいんだ」「わかってないことは表明していいんだ」という文化づくりに貢献してくれます。

17. もやっとしていることを吐き出そう

チームのコミュニケーションや、チーム外のこと、業務のこと、などなんでももやもやしていることを吐き出します。

18. 別チームとのコミュニケーションをどう改善するか?

自分たちの周囲の関連するチームとのコミュニケーション方法の改善について、問題点と改善策の両方を考えます。

19. ○○ってみんなどうやってるの?

○○は特定の業務やプロセスを入れます。私たちのチームは「クロスセルってどうやってる?」について、それぞれの知見を共有しました。

20. 能力評価と共有

チームメンバー一人一人が自分の能力を自己評価して共有します。互いにフィードバックしあったり、長所を生かしあうために何ができるかを話します。

21. Moving Motivators

management30.com

Management 3.0 のMoving Motivatorsのゲームをみんなで行います。

22. チームにジョインしたとき、「こんなこと困ったなぁ」と思ったこと         

新しくチームメンバーが入るときのために、困りそうなことを事前に対策しておくために話し合います。 過去の悩みを共有することで、オンボーディングプロセスを強化します。

23. 好きな歌の歌詞をモチーフにふりかえる

「歌詞」のイメージとなる単語からインスピレーションを受けてふりかえりをします。 このときはチームメンバーの一人が好きな「敗走」という歌から、「敗走」「凱旋」「必殺技」というテーマでふりかえりしました。 www.youtube.com

24. 16 Personalities

www.16personalities.com タイプ診断をそれぞれ行い、その背景にある過去の出来事や、現在の強みなどを共有します。

25. プレモーテム

「今後起こりうる最悪の未来は何か?」「その未来を引き起こす原因は何か?」「その原因を取り除くためにできることはなにか?」を話し合い、問題の予防を行います。 私たちは「相手が不快に思うコミュニケーションをさせないためには?」という「対お客様」「対チームメイト」という観点でのふりかえりを行いました。

26. ○○を成功させるためのポイント

チームメンバーの「うまくいっていること」をまねするために、成功の秘訣を聞き出します。 実際のテーマとして行ったのは「ソリューション営業を成功させるポイントは?」として、実績を多数出しているメンバーにコツを聞きました。

27. 新規メンバーのオンボーディングをどうする?

新規メンバーを受け入れるために事前にできることは何か、チームとして気を付けることは何か、を話し合います。

28. Good, Bad, Next

29. ありたい姿

30. 今週のハイライト

今週チームとして・個人としてうまくいったこと・ハイライトは何かを共有します

おわりに

1週たりとも同じテーマ、手法で行ってきているのがわかります。 また、アクションを求めるような手法は半分以下で、コミュニケーションや人に関連するテーマが多かった印象です。 私たちの事業を加速させるために、そして最高のチームにするために必要なのは、いつでも「人」です。 そこに向き合い続けた結果、自然とそういうテーマが選ばれていたように思います。

ふりかえりはこれくらい自由でいいんです。 みなさんも、何か使えそうなテーマがあれば参考にしてみてください。

2023年も残り少し。あと1か月と、そして迎える2024年も、よいふりかえりライフを送りましょう!