ふりかえりvTuber「フリカエリ星人」がRSGT2022で地球に降り立ってきた
- ふりかえりvTuber「フリカエリ星人」って?
- RSGT2022でのセッションの裏側を語る
- RSGT2022でのセッション概要
- セッションの内容を紹介
- セッションの裏側で「その場にいた人たち(参加者・登壇者)」に起こっていたこと
- セッションをふりかえって見えてきた、新しいセッションの姿と改善点
- そしてRSGT2023へ
ふりかえりvTuber「フリカエリ星人」って?
よぉ人類!我々は「フリカエリ星人」だ!
ふりかえりエネルギーを集めるため、地球から遥か数万光年、フリカエリ星からやってきた。
我々にとって、ふりかえりエネルギーは生きるために必要なんだ。
近年、宇宙におけるふりかえりエネルギーが急速に増大していることを観測した。
それが、地球だ。
我々はその調査に向かうべく、そしてふりかえりエネルギーをより増大させるために、
地球との交流をしにやってきた。
よぉ人類!ふりかえりの話をしようぜ!
過去の交流の場は以下のYouTubeチャンネルを見てくれ!
~フーリー&カエリ―より~
RSGT2022でのセッションの裏側を語る
これからは、フーリー&カエリ―の代弁として、ふりかえりの黄色いエバンジェリストこと、森一樹/びば@viva_tweet_xが、セッションのふりかえりをしていきたいと思います。
中の人?なんのことでしょうね。知らない概念です。
私はフーリーとカエリ―から話を聞いて、地球語に翻訳しているだけです。
この記事では、セッションの中身をふりかえりつつ、今後の新しいセッションの姿を想像していき、RSGT2023へとつなげていきたいと思います。
RSGT2022でのセッション概要
はじめてRSGT2022のセッション一覧を見たとき、みなさんは戸惑いを感じたかもしれません。
セッションの概要も見てみましょうか。
フリカエリ星人との邂逅 ~ふりかえりのお道具箱&お悩み相談~
お、おう。
だいたいの人がこんな感想を抱いたのではないでしょうか。
自分の認知限界のギリギリいっぱいを攻められてる気がする / 「よぉ人類 ふりかえりのTIPS交換しようぜ!」~フリカエリ星人襲来! https://t.co/sFBExA8xA6 #フリカエル
— Yotaro TAKAHASHI (@PoohSunny) 2021年12月6日
わかる。そうですよね。
でも、「なんか面白そう」「今までにない体験ができそう」という感覚は得られませんか?
ファーストインプレッションでつかみ、引き込み、場に巻き込む。場に巻き込んだら、そこで一緒に作っていく。
こうした新しい体験をするならどこか。オンラインとオフライン両方で新体験を実現できる場が、RSGT2022でした。
ここからは、RSGT2022でのセッションの中身も見ていきたいと思います。
セッションの内容を紹介
雰囲気を知りたい方は下記のMiroにアクセスしてみてください。
セッションのすべてが詰まっています。
フリカエリ星人との邂逅~ふりかえりのお道具箱&お悩み相談~, Online Whiteboard for Visual Collaboration (miro.com)
RSGT2022の参加者は、Day1 West HallのYouTube動画リンク(Discord参照)から01:04:15~でセッション動画にアクセスできます。
左側がイントロダクション、中央で悩み&TIPS、右側がふりかえり、といった具合です。
イントロダクション以外の付箋は、45分のセッションの中で参加者の皆さんとフリカエリ星人の2人(2匹?)によって生み出されたものであり、予定調和なものはありませんでした。
RSGTのセッション参加者は、各々のタイミング休憩時間のうちに会場に入ってきたり、Zoomに入ってきたりしますよね。
会場では配信準備が完了次第、休憩時間中にも画面にMiroの様子は映っていますし、Discord上でも案内が行われています。また、フーリー&カエリ―からも案内がされ続けていますので、Miroに徐々に人が集まっていきます。
セッションが始まると、まずはともあれ全員で挨拶から。
カエリ―「『よぉ人類!』と我々が言うから、『よぉ!』と返してくれ。いくぞ、せーの、『よぉ人類!』」
そうして一気に流れるDiscordのチャット。そうして参加者みんながセッションに参加した状態でスタートします。
参加者からすると、登壇者であるフーリー&カエリ―に対して「お前は何者なんだ」という疑問符が浮かび続けている状態だと思うので、まずは「フリカエリ星人とは」という簡単なイントロダクションから始まります。
また、自己紹介だけでなくセッションの進め方が簡単に、改めて共有されます。
そしていよいよ本題です。
最初に5分間、「悩みやTIPSを書く」「投票する」という時間が設けられます。参加者は各々、Miroで自由にボードを見たり、書いたり、投票したり、という自由時間です。その間にも、フリカエリ星人はボードに記載されている付箋を取り上げて共有していくため、この時間の動き方は参加者に完全に委ねられます。
そしてある程度付箋の動きが止まってきた段階で、投票の多いものをピックアップして、フーリー&カエリ―が解説していきます。
1つのTIPSあたり1~3分程度、フーリー&カエリ―から思い思いに解説がされていきます。この内容は事前に作りこんだものではなく、当日参加者によって生まれた質問に、当日フーリー&カエリ―が回答していく、というスタイルです。
Discordのコメントは右上のチャット枠にもリアルタイムで表示され、フーリー&カエリ―もコメントを拾いながら解説を補足したり、脱線したりしていきます。
時間が来たら、最後にはもちろんみんなでふりかえり。
その場でフーリー&カエリ―が作った手法で、みんなで思い思いにこのセッションをふりかえっていきます。そんなふりかえりだらけ・ふりかえり尽くしの45分間が、終わろうとしています。
そして、最初にあいさつで始まったように、最後もあいさつで終わります。
カエリ―「我々が『じゃあな!』っていうから、地球人のみんなも『じゃあな!』って返してくれ。いくぞ。せーの『じゃあな!』」
こうして、フリカエリ星人と、地球人との邂逅は幕を下ろしたのでした
セッションの裏側で「その場にいた人たち(参加者・登壇者)」に起こっていたこと
後日、このセッションに参加くださっていた、いろんな方から感想やお声をいただきました。
- オンライン・オフラインを通じて一体感を感じられたセッションだった。
- なるほどな、と思う話が多かったです。明日から実践できそう。
- コメントを拾ってもらえるのがうれしくてDiscordにいろいろ書いちゃいました
- (いい意味で)オフラインでは異様な空間が出来上がっていた。誰も配信画面を見ないで、自分のPCににらめっこしている。
- BGMがあるのがよかった
- (登壇者が)登壇する日に現地に行かないで、登壇しない日に現地に行くって逆でしょww
フーリー&カエリ―の目線でも、以下のようなことが起こっていることを認知しています。
- 参加者同士で(操作や内容に関する)助け合い・ファシリテートが行われる
- 「よぉ!人類」「よぉ!」スタンプが参加者の手によって生まれた
- Discordで参加者同士で勝手に始まる脱線の数々
- フーリー&カエリ―がMiroのボードを整理していないのに、参加者側で勝手に整理が進んでいた
これについても、画像を交えながら少しずつ紹介していきます。
オフライン側で生まれる不思議な空間
ふつうのセッションだったら、ホールに集まっている人はみんな登壇者側(画像の正面
)のメインディスプレイを見るんですが、このセッションに関しては顔を上げている人がゼロ(に見える)です。これはなかなかない体験なのでは。
スタッフの皆も面白がっていました。
参加者同士での助け合い・ファシリテートが自然発生
上記のような助け合いが自然発生していました。
面白いのが、やっているのが全部違う人なんですよね。一部の人だけがこうした活動をやっているワークショップやセッションは見かけますが、その場で参加した参加者同士が何も促していないのに勝手に助け合いを始めている。
これは、RSGT2022という場独自のものもあるかもしれないし、このセッション独特の空気だから、というのもあるかもしれません。
参加者同士で勝手に始まる脱線と盛り上がり
なんかDiscordで活発にわいわいしてました。
MiroでもDiscordでも、好きなところで偶発的に集まってワイワイしている感じが好きですね。
よぉ!人類スタンプ爆誕
ありがたい限りです。使いどころ…?
みんな使ってください。
こんな感じで、色々と参加者側でも生まれるものが多かったセッションのように思います。
セッションをふりかえって見えてきた、新しいセッションの姿と改善点
今回のフリカエリ星人のセッションをして、そして再度動画を見直してみて感じたことがいくつかあります。
オンラインでもLIVE感を味わえる、「その場に参加する」セッション
一方的に話をする・聞くだけではない、セッションという「場」に参加してLIVE感を味わうセッションを実現しやすくなってきていると感じています。
これまでは、セッションタイプの大きな分類として
- 話をする/聞くの一方通行のトークセッション
- 全員参加型のワークショップセッション
の両極端の2つが主体だったと思います。勿論、参加者が投票したテーマが取り上げられるパネルディスカッションなどの双方の特色を持つセッションもありますが、そういったセッションは少数かつ、「参加者もその場に参加している」という感覚が強いセッションが作りにくいものでした。
ただ、このセッションのように、「参加者がどうするか(聞く・話す・書く・見る)は参加者側に自由に委ねられつつ、その場にいる参加者たちと登壇者によってその場で作り上げられていくコンテンツ」という両方の特性を強く合わせもった形式が、オンラインの強力な配信ツールを使うことで実現しやすくなってきています。
一方通行で話すだけではない、双方性の高いセッションを実現する土壌
このセッションでは、意識的に双方向性を高める工夫をしています。ただ、ここ1-2年、参加者がオンラインでの勉強会・カンファレンス・会議などへの参加することに慣れてきたこともあり、「場を上手に用意すれば、あとは参加者同士で補完する」ことが可能になってきているのでは、と思います。
これまでは入念に場を設計して、導入して、そうしてはじめて参加者同士のインタラクションが生まれてくる、という状況でしたが、RSGT2020, 2021, 2022と進んでいくたびに、インタラクションが高度に行われるようになってきているのを感じています。
これはRSGTだけでなく、普段のフーリー&カエリ―のイベントや、ふりかえり実践会コミュニティのイベントでも同様に感じる変化ですので、オンライン慣れした参加者が多くなってきているのもよい影響を与えているのでしょうね。
「動画をあとで見る」人のための工夫が必要
「その場に行かないと見れないセッションしかない」カンファレンスやイベントが、「参加登録しておけばあとで動画で見直せるセッションが多い」ものへと変遷してきています。
今まではオフラインでしか参加できなかったカンファレンスが、オンライン化・ハイブリッド化が進むことで配信技術・知識が蓄積された結果だと思います。
オフライン→オンラインへ進んでいった2020年~2021年では、
「オンラインで得られていた参加者体験を、オンライン側でどのように実現するか(または新しい体験をどのように設計するか)」
に注力してきましたが、オンラインが当たり前になった今、
「オンライン(そのとき参加すること)で得られる参加者体験を、動画で見たときにどのように再現するか」
も大切になってくるのだと思います。
実際にカンファレンス終了後にいろんな人とセッションを同時視聴してみて、
- (動画の視覚的な情報量が多いので)動画のどこを見ればいいのかすぐにわからない
- 話を聞けばいいのか、見ればいいのかが直感的にぴんとこない
といったご意見をいただきました。
これは、現地参加していることでDisocrod・Miro・現地などで参加者同士で補完されていた情報がなくなったことが「動画を見るだけ」に切り替わって、自分一人で補完するしかなくないため、足りない情報量を補いきれないこと。
また、参加者側が取れる手段が「見る・聞く・話す・書く・手を動かす」から「見る・聞く」だけに限定されること。それによって減る参加時のLIVE感の減衰や、情報量の減少などがあります。
Podcastや動画収録などでは、「後から聞く・見ることが前提」のため、視聴者に向けた仕掛けがいくつも取り込まれていました(#ふりかえりamもそう)。それらの仕組みを、カンファレンスのセッションの中でも、登壇者側が取り込むことで、後から見る人たちの理解・満足度を上げることにも直結していくのだと思います。
こうした仕掛けをカンファレンス・勉強会側が行っていくにはまだまだ変化には時間がかかるはずです。登壇者が自分たちで、そうした仕組みを取り込むことも必要になってきているのかもしれません。
その場にいる人も、あとで見る人も満足できる驚きのあるコンテンツの必要性
その場にいる人たちは、コンテンツの内容を自分たちで選択して作り上げることができます。その場で参加者の多数決・人気投票などによって選択された内容だからこそ、コンテンツの内容が普遍的なものであったとしても、満足感のある、納得感のあるものになるでしょう。
ただ、あとから見る人はどうでしょうか。コンテンツの選択は自分ではできませんし、納得感も得られにくい。そんな状態で普遍的なコンテンツを見ても「へー、いつものよく聞く話だ」という感覚になってしまいやすいんじゃないか?と思います。
コンテンツ選びの際にも、多数決・人気投票だけでなく、何かしらのカオス(予想不可能ななにか)があることで驚きも生まれてきそうです。そのカオスの種は、登壇者からいきなり投げ込まれるものではなく、参加者から投げ込まれたものであれば、満足感・納得感も得やすく、その場で新しい何かが生まれる期待・わくわく感も出てきそうです。
用意されたコンテンツとしてではなく、その場で一緒に作りこむ意外性の高いコンテンツ。これをやることで、あとから見る人にも驚きのある体験を届けられるかもしれませんね。
そしてRSGT2023へ
色々と妄想も膨らんだところで、来年のRSGT2023に向けて、新しい実験をたくさんしていきたいと思います。
フーリー&カエリ―がセッションにやってくるかはわかりません。ただ、双方向性の高い、そして今年ではできなかった新しい体験を、来年のセッションでも作り上げていきたいと思っています。
これからも、応援していいただけると嬉しいです。