ふりかえり実践会

「ふりかえり実践会」の活動紹介ページです

【書籍発売のお知らせ】アジャイルなチームをつくる ふりかえりガイドブック

みなさんこんにちは。びば@viva_tweet_xです。

2021年2月17日に書籍『アジャイルなチームをつくる ふりかえりガイドブック 始め方・ふりかえりの型・手法・マインドセット』が発売されます。

アジャイルなチームをつくる ふりかえりガイドブック 始め方・ふりかえりの型・手法・マインドセット | 森 一樹 |本 | 通販 | Amazon

f:id:viva_tweet_x:20210201101844j:plain

ふりかえりのことを体系的にまとめた商業誌は、書籍「アジャイルレトロスペクティブズ」以来14年ぶりです。今後多くの人が「ふりかえり」を知る・学ぶための足掛かりとなることを願っています。

この記事では、書籍の紹介とともに、書籍を書くに至った経緯や想いなどを紹介していこうと思います。

ふりかえりの本に込めた想い

私がふりかえりに出会ったのは2015年。

炎上したプロジェクトの終了後に、「ふりかえりをするぞ」と言われてやったのが最初です。そのときはProblemだけが大量に出てきました。そして、ふりかえりの結果は活かされずに終わり。うんざりして二度とやりたくないと思った記憶があります。

そこから2年。アジャイル開発に出会い、チームでふりかえりをして衝撃を受けました。

こんなに楽しく、チームに良い変化を起こせる活動があるのか、と。

ふりかえりに魅せられてしまったわけです。

そのときに、ふりかえりを学ぶうえでお世話になったのが書籍「アジャイルレトロスペクティブズ」「これだけ!KPT」。そして、Webサイト「FUN RETROSPECTIVES」「Agile Retrospective Resource Wiki」などです。様々な手法を自分で試して、自分なりにカイゼンして、の繰り返しをしていました。

そうしているうちに、自分に溜まった「ふりかえりの知識」を、他の人にも伝えたいという想いが湧いてきました。ワークショップや講演などで様々な現場・チームにふりかえりのことを伝え続けてきたものを、本という形でも残して、広く伝えたいと思ったのです。

また、私が勉強してきた本やWebサイトの内容は、英語だったり、日本の文化にはしっくりこないものも多数含まれていました。それらを、日本の現場でも読みやすく、使いやすい知識として体系化し、「ふりかえりの楽しさ」を伝えたいという想いで、「ふりかえりガイドブック」は生まれました。

ふりかえりガイドブックの紹介

ふりかえりを「始める」ためのガイドとして

サブタイトルにあるように、始め方・ふりかえりの型・手法・マインドセットをマンガを交えながら解説しています。

特に重点を置いているのは「始め方」です。

アジャイル開発やスクラムに関わる人はどんどん増えています。「ふりかえり(レトロスペクティブ)」も、今後実践する現場が増えていくでしょう。

私はこれまで、現場での導入に苦労したり、やり方がわからず挫折してしまった、という悩みを聞き続けてきました。

  • 「反省会」のイメージが蔓延し、ふりかえりの導入に周囲の賛同が得られなかった人
  • 試してみたものの効果が得られず、ふりかえりの活動が立ち消えてしまった人

そんな悩みが、様々な現場から寄せられています。

こうした悩みに向き合うために、この本は生まれています。 チームに途中から参入したスクラムマスターが、どのようにふりかえりを導入し、定着させていくのか。そんな内容を、マンガを通じて説明しています。

もちろん、導入のケースはマンガの場合以外にもたくさんあります。そんな導入時に躓きやすいポイントを、この本では詳しく解説しています。

ふりかえりを「実践」し続ける人へのガイドとして

この本はふりかえりを既に実践している人にも役立つ本になっています。

など、ふりかえりを広く深く知るための要素をちりばめています。

最初は一通り目を通していただいたら、手元に置いていただいて、ふりかえりの際に読み返す。そんな使い方をしていただければ幸いです。

より強力になった「ふりかえりチートシート

無料配布している「ふりかえりチートシート」。2,000人以上の人たちにDL・ご利用いただいてますので、「見たことがある」という人もいるかもしれません。

ふりかえりを拡張する「ふりかえりチートシート」 - Qiita f:id:viva_tweet_x:20210201145759p:plain

この本では、巻末の付録として、商業誌版の「ふりかえりチートシート」を新規に書き下ろしています

手法の紹介だけにとどまらず、

  • ふりかえりの目的
  • ふりかえりのマインドセット
  • ふりかえりの手法の組み合わせ例

が1枚に収まった、ふりかえりを実践するときや、学びなおすのに最適なチートシートです。

PDFでダウンロードするためのリンクもついていますので、チームとも共有しやすくなっています。

ふりかえりガイドブックに込めた4冊の「知恵」

「ふりかえりガイドブック」には、これまで私が培ってきたふりかえりの知識・知恵をたくさん盛り込んでいます。

「ふりかえりガイドブック」が出来上がるまでには、実は4冊の本が土台となっています。

ふりかえり読本 場作り編~ふりかえるその前に~

hurikaeri.booth.pm

場作りのための考え方と、場作りのための20の手法を載せた本です。この本の「場作り」の大切さへの想いや内容は、「ふりかえりガイドブック」にも継承されています。

ふりかえり読本 学び編~経験を力に変えるふりかえり~

ふりかえりで大事な要素である「学び」に特化した本を書いたのが、「ふりかえり読本 学び編」です。

hurikaeri.booth.pm

こちらは、「経験学習」「学び」に特化したふりかえりの考え方や手法をまとめた本です。自分ひとりで行うふりかえり(リフレクション)として、そしてチームのふりかえり(レトロスペクティブ)として使える手法を両方説明しています。

この本の「学び」に関する考え方や、ふりかえりのマインドセットが、「ふりかえりガイドブック」に受け継がれています。

ふりかえり読本 実践編~型からはじめるふりかえりの守破離

「チームが0からふりかえりを始めるための本」として書き上げたのが、「ふりかえり読本 実践編」です。

hurikaeri.booth.pm

この本では、「ふりかえりの8つの型」に沿って、ふりかえりの手法の組み合わせ方と、その実践方法を詳細に載せています。 1つずつ型を実践していけば、ふりかえりを学びながらチームが成長していけるような構成にしています。

この本の「型」や「手法の組み合わせ」の考え方が、ふりかえりガイドブックをより実践的にしています。また、この本と一緒に作った「ふりかえりチートシート」も、先述のとおり書き下ろしたものが「ふりかえりガイドブック」に入っています。

アジャイルな強いチームを作る チームビルディング超実践ガイド

最後の本が「チームビルディング超実践ガイド」です。

hurikaeri.booth.pm

「チームビルディング」の各種手法を集めた本です。チームを強くするための各種手法を、効果やファシリテーション方法まで細かく記載しています。 この本では「アジャイルなチームとは何か」を定義しています。その「アジャイルなチーム」の考え方が、「ふりかえりガイドブック」の根幹になっています。

ふりかえりガイドブックとこれらの4冊の位置づけ

これらの本の全ては「ふりかえりガイドブック」で語りきれてはいません。4冊で約800ページに渡る内容の中から、ふりかえりを始めるため、そして継続・定着するために大事な部分を抜き出し、加筆し、作り直しています。

ふりかえりガイドブックには書ききれていない、アドバンスドな手法や考え方もたくさんあります。よりふりかえりを深く知りたい、チームビルディングを深く知りたい人は、これらの4冊もお使いいただければ幸いです。

これらのアドバンスドな内容については、別途どこかでお話したり、本にする機会があれば嬉しいなと考えています。

ふりかえりガイドブックに至るまで

これらの4冊の本を書いていきながら、

RSGT2020にて行われた「好きな Agile/ Scrum本」の投票にて、「アジャイル1年生」の好きな本の第4位に「ふりかえり読本 実践編」がランクインしたり、

iwakiri.hatenablog.com

「SCRUM BOOT CAMP THE BOOK 【増補改訂版】」にふりかえりのコラムを2本書かせていただいたり、

SCRUM BOOT CAMP THE BOOK【増補改訂版】 スクラムチームではじめるアジャイル開発 | 西村 直人, 永瀬 美穂, 吉羽 龍太郎 |本 | 通販 | Amazon

「SCRUM MASTER THE BOOK」のレビュワーをさせていただいたり、

SCRUMMASTER THE BOOK 優れたスクラムマスターになるための極意――メタスキル、学習、心理、リーダーシップ | Zuzana Sochova, 大友 聡之, 川口 恭伸, 細澤 あゆみ, 松元 健, 山田 悦朗, 梶原 成親, 秋元 利春, 稲野 和秀, 中村 知成 |本 | 通販 | Amazon

と様々なご縁をいただきながら、「THE BOOK」シリーズの3冊目として「ふりかえりガイドブック」を書き上げ、発売することができました。

持ち込み企画を受け入れていただいた翔泳社の皆様。企画の後押しをしてくれた岩切晃子さん。編集として毎週裏で支えていただいた片岡仁さん、大嶋航平さん、吉井奏さん。そして、素敵なマンガを描いていただいたイラストレーターの亀倉秀人さん。本当に、ありがとうございました。

Special Thanks

この本を作るにあたり、様々な人にお世話になりました。

SCRUM BOOT CAMP THE BOOKの著者であるみなさん(吉羽龍太郎さん、西村直人さん、永瀬美穂さん)。マンガを使ってどのように読者に伝えるのか、どうすれば誤解なく伝えられるのか、そしてこの本の全体の構成をご指導いただきました。ありがとうございます。

また、本書のレビューにご協力いただいた秋元利春さん、稲山文孝さん、小田中育生さん、及部敬雄さん、金山貴泰さん、田嶋健太さん、田中亮さん、原田騎郎さん、堀宏有さん、増田謙太郎さん、kyon_mmさん。みなさんのおかげで、読みやすく、「長く現場で使ってもらえる本」に近づけたと思います。ありがとうございます。

おわりに

是非、この本に関する感想はSNSで #ふりかえりガイドブック でお寄せいただけると幸いです。励みになります。

また、ふりかえりの悩みの相談や、紹介してほしい手法がございましたら、いつでも Twitter @viva_tweet_x までご連絡ください。何かしらの形でお応えできると思います。チーム向け・企業向けの講演・研修等の依頼も、気軽にご相談いただければ幸いです。

最後に、ふりかえりの世界を広げ続けてきた先人たちに感謝いたします。私のふりかえりの世界は、先人たちが書籍や記事、Webサイトという形で伝えてくれたさまざまな情報によって始まり、広がってきました。先人たちの大切にしていたことが、本書によって読者の皆さんにわかりやすく伝わっていれば幸いです。